ほぼ足りてまだ欲 その先

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喪中につき

f:id:nsw2072:20210105181416j:plain:w360:left 昨年の11月に入ると、何枚かの「喪中ハガキ」が届いた。私たちの親世代はどうやらもうほとんどが他界してしまったらしくて、大分減ってきた。それでも今頃こういうハガキが来るのは多くの場合、長寿を果たした母親の訃報である。それもほとんどが90歳を超えて、中には103歳で他界、というしらせもある。

 高校の時に同級生だったM君から「喪中ハガキ」が届いて、どういうことかと思ったら、お母さんが94歳でなくなったという。彼は確か一人っ子だったような気がする。お母さんは20歳そこそこで彼を産んだことになる。彼の家は久我原にあった。小さな平屋の家だったような気がするが、なぜか彼の家は行きやすかったのか、何度か足を運んだ記憶がある。一番記憶に残っているのは、高校を卒業した春に、彼の家に浪人することになった連中ばっかり4-5人集まってすき焼きパーティーをやった。それでも彼は現役でうちの近くの私立大のスペイン語学科に入ったんじゃなかったか。みんなで買い物にいって、すき焼きを始め、生意気にもビールで乾杯なんぞしたんだが、宴半ばになって彼のお母さんがビール瓶を片手にして、「私も仲間に入れてよ」といってこられた。そういう開けた家で、彼はもう既にタバコも嗜み、ビールを慣れた手つきでのんだ。ということは私たちはまだ18歳くらいだから、お母さんだってまだ40歳になるかならないかだったということだ。今から考えたら随分若かったわけだ。彼はその後、大学の帰りにうちに寄ってくれたことがあって、スペイン語のことを話していたことを思い出す。ところが毎年毎年年賀状だけは交換してきたのだけれど、あれ以来逢ったこともない。つまり、もう半世紀以上あっていないということになる。彼は一体、どんな人生を送ってきたんだろうか。