ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

The Public


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昨日夜中にFaceBookで友人がWOWOWで録画した映画がとっても良かったといっていた。
原題:The Public (邦題:パブリック図書館の奇跡)という映画で舞台がオハイオ州シンシナティという大都会の図書館。本物の図書館がちゃんとその名前で映画に出てきちゃうっていうのも凄い。
ま、ハリウッドの映画というか、アメリカの映画は大体架空の都市名とかでは出てこない。
ここが日本の映画と根本的に異なるところだ。
なにしろ日本の映画では、ゴジラがどのビルを壊すかで物議を醸すくらいだから、話にならない。
探してみると、WOWOWの「オン・デマンド」に残っていて、全部見ることができた。これは良い!

「公共性とは何か」を考えさせる映画であって、そういう意味ではこの原題の「The Public」が意味を持つ。
邦題の「パブリック図書館の奇跡」では何だかわからないし、何が奇跡なんだよ。
主人公のStuart Goodson(Emilio Estevez: Charlie Sheenのお兄さん)は、いろいろと過去のある典型的な若いときにはドロップアウトしてしまっていたけれど、今はごくごくつましい独身生活を送るおっさんで、図書館三階のサイエンス部門にいる。
いろいろな利用者がやってくるんだけれど、毎朝のなじみ客は、まずホームレスの連中だ。
なにしろシンシナティといったら、冬は寒い。
10時の開館まで家なき子の連中は足踏みをしながら入り口で待つ。
たぶん多くの日本の公共図書館ではそんなことはないだろうが、現実にそういう図書館は存在する。
それが、このCOVID-19の大災害で多くの公共図書館は手の消毒、マスクの使用、利用時間の制限が張り巡らされて彼等を追放、排除することに成功している。
今図書館はガラガラだ。
彼等はこれからの冬の昼間をどうするのか。

シンシナティのメイン図書館には終日彼等が滞在し、閉館の合図と共にいやいや極寒の外へ出ていく。
時には図書館の前の道路で凍死してしまう人が出る。
極度に温度が下がると予報が出ているある日、常連のホームレスのひとりが「俺たちは今日は帰らないぞ」と宣言する。
「俺たち?」と聞くと、なんと百人近いホームレスが残っている。
「シェルターがあるだろう、ここは図書館なんだ」
「こんな日はどこのシェルターも一杯だ」となって、そこからストーリーはどんどんと驚く展開をしていく。

図書館にやってきて、いろいろと質問やリクエストをする人たちを展開させてみせるんだけれど、たぶんあれは実際にやってくる連中なんだろうな。
中でも記憶に残っているのは、
「地球儀はどこかにありますか」
「ご覧のあそこにありますよ」
「あ、いやいや、縮小してある地球儀じゃなくて、実寸大の地球儀なんだけれど」
「・・あ、それだったら今は使用中です」ってのが良い。

Publicityとはなにかを考えることになるという点では良い映画だと言える。
それを単に「薄っぺらいその場限りの美談に過ぎない」という評価をするものもいる。そこから問題点を派生して考えることができる、そんな要素を提示しているというべきだろう。

ネゴシエイター役のAlec Baldwinは良く見る顔だ。