ほぼ足りてまだ欲 その先

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復興校舎解体

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 うちの区に(多分)唯一残っていた復興校舎の建物がこの期末をもって解体されることになった。その小学校はもう四半世紀前に廃校になって、そのあとは地域のコミュニティーが利用してきた。しかし、いかんせん建物自体が老朽化してきたし、この建物の前の道路が非常に狭く、消防車が入れない路地になっているので、これを解体して、道路も少し広くするということになった。
 私が卒業した高校も歴史は古いけれど、途中で移転したので、その時に復興校舎の三階建てに建てられたものだった。だから今でも復興校舎を見ると高校時代を思い出す。もちろんその高校もとっくに新しい校舎に建て変わっていて、そうなると行ってみてもほとんど感慨はない。まるでどこかよその学校に来たようなものだ。元はといえば高等女学校だったから、畳敷きの部屋があったり、北向きで天井の高い美術室があったし、音楽室に至っては教室の横にいくつかの練習室があって、そこにひとつずつピアノが入っていた。公立の全日制の普通高校でそんな設備は多分珍しものだったのだろう。
 で、解体される復興校舎を一度で良いから写真に撮りたいと思っていたら、その学校のすぐ横に住む友達が、「公開されるらしい」と教えてくれた。そりゃもっけの幸いだと喜んでいると、街中の町内の掲示板にそのポスターが張り出されるようになった。心待ちにして昨日の昼過ぎにやってくると・・・なんと「同窓会」と書いてあって、同窓生以外は遠慮して、と書かれていた。え〜〜っ!!
 とりあえず受付に行くと、そこにいたオジサンが同窓生でなくてはダメで、もしなんだったら(そりゃなんだ?)向かいの床屋に行って話してくれ、あれが同窓会の会長だ、という。あぁ、多分こういう時はダメだろうなと思いながら床屋の扉を開けると、お茶を引いているオジさん、というか同年配とおぼしきお爺さんがいた。その旨告げると、「コロナだから同窓生以外はダメだ」という。待ち望んできたんだといっても「ひとりだけ特別扱いするわけにいかない」とやっぱり譲らない。こうなりゃダメだ。
 いいたいことは山ほどある。この建物は同窓生だけのものじゃない、区民みんなのものであるはずであり、そうでなくてももう滅多に見られない復興校舎なんだ、コロナだからというんであれば、この公開そのものをやめるべきじゃないのか、といって云えないこともない。しかし、そういったら、相手はもっともっと守りを固めるだけだ。情に訴えて「他の人に云ってはダメだぞ」という許可を得ても面白くもなんともない。肝心のその写真をアップすることだってできなくなる。
 重たい足を引きずりながら、帰った。

 復興校舎や、同潤会アパートのような復興住宅が消えていき、小綺麗な、タワーマンションなんぞに置き換わっていって関東大震災はどんどん忘れ去られていくんだろう。それを待っているのは誰なんだろう。