2008年10月15日の参議院予算委員会で、今年6月に87歳で亡くなった民主党の石井一が当時の麻生太郎総理大臣とやり合っていて面白い。
○石井一君
さて、総理は、今こそプロの政治家の出番であると。プロとアマってどういうことなんですか。福田(康夫)総理はプロじゃないんですか。○内閣総理大臣(麻生太郎君) 基本的には、政治家を目指されて長いことおられるということに関しましては、基本的に当選六回、石井先生もう当選十何回になっておられるんだと思いますが、そういった経験則というものがかなり大きな要素を占めるんだと思っております。
しかし、その分野が短いからといっても、特殊な分野を持たれて非常にその分野に関しては詳しいという方もいらっしゃいましょうし、それは人いろいろだと思いますが、きちんとした役所に、大臣なら、なった場合は、その大臣の立場で役所を引っ張っていくというのはそれなりのその役所に関する知識、見識が必要だろう、そういったのをまとめてプロという表現を使わせていただいております。○石井一君 答弁はストレートにはぐらかすことなくやっていただきたいんだが、私はプロですか、政治家として。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 御自身の認識がそういうように思っておられたらプロと言われるんで、少なくともこの世界で十年、二十年、長くやっておられて特別の分野を持っておられる、おれはこの分野に関して、政治全般とは言わぬが、少なくとも農林に関してはプロ、防衛に関しては詳しい、そういったそれぞれの得意分野を持っておられる方はいらっしゃると存じますが、石井先生がどの分野でお詳しいのかに関しまして、最近余りお付き合いがありませんので、最近のことはよく分かりません。
○石井一君 小沢一郎さんはプロですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 小沢一郎先生は少なくとも選挙のプロと自分で自覚をしておられると存じますが。
○石井一君 政治家のプロですか、どうですか。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 私は御自身では政治のプロと思っておられるんだと存じますが、少なくとも政治家にとりまして選挙というのは極めて大きな要素ですから、その意味で、選挙に詳しいという自覚がおありになれば、政治家としてプロだと自分では思っておられると思いますが。
○石井一君 今の答弁も、まさにまじめに答えてもらいたい。自分がプロの政治家と言うんなら、おれはプロの政治家なんだ、ほかのやつはそうじゃないんだという気概がなかったら、こういう言葉は使いなさんな。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 私は、プロとしての認識、自覚、それなりの、二十五年もやらせていただきましたんで、それなりに自分で政治家としてのプロの自覚を私はあるからプロの出番だと申し上げております。
○石井一君 今こそ国民に信を問う、私は決断した、国会の冒頭、国民に信を問おうと思う、強い政治の発射台としてまず国民の審判を仰ぐのが最初の使命だと思う、私は逃げない、王道こそ私の本望である。言ったらやりなさい。やれないんなら言いなさんな。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) やる日にちを石井先生から指定されてそれに従うつもりもありません。解散は自分で決めます。
○石井一君 それは開き直りだろう。それだったらなぜこの本を署名入りで出すんだ。この本を撤回しなさい。
この後石井一と麻生太郎が解散するかしないかと大議論になり、理事会マターじゃないかという声に速記を止めなかった委員長の溝手の言葉も記録されていて、大変に面白い。是非一度国会の議事録をお読みになることをお勧め。
そしてこの後、石井一が公明党の斉藤鉄夫環境大臣に公明党と創価学会について踏み込み始める。
創価学会がこの前年の参議院議員選挙でどんな対策をとるのかについて「ある創価学会の文化会館で録音された」テープをもとに追求する。
「この中には、民主党は仏敵だと言っているんですよ。どう仏の敵なのか教えてもらいたい」
「婦人部長は、菅が来ると、仏敵を追い払えと、同盟唱題というのか、のろいのお経をあげたら突然突風と大風が吹いてきて、大雨が来て、それでその菅直人と候補者はこわごわ退散したと。そこでまたごっつう拍手が起こっておるね。」
感想を求められて麻生太郎はこういった。「公明党の推薦を私はいただいていない自由民主党の国会議員でありますんで、そんなに私、公明党の選挙運動に詳しいわけではありませんので、ちょっとそれ以上の、ちょっとその他の比較ができませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。」
石井一はたたみかける。「公明党の推薦を受けていないと言うけれども、福岡八区、九州三十八の小選挙区の中で一番公明党の票が多いのよ。あなたは前回の選挙の、前回か前々回か、公明党の宣伝用のテレビにも出てしゃべっとるやないの。中間市というところで、あなたのポスターのところへ比例は公明党と書いて張っておるやないか。票をもろうてないとは、そういう、まさに私は調査してから話をしておるんですから、無責任なことは言いなさんな。
麻生太郎総理大臣「私の推薦をいただいていないということと、公明党の教宣ビデオですか、に載ったということと何の関係もないじゃないですか、基本的には。私は推薦をいただいていないという事実を申し上げて、昔、向こうの教宣って、あれはたしか政調会長のときだと思いますけれども、載らせていただいたという記憶がありますが、それが私の申し上げていることの真実であります。」
ここから先もとても興味深い。
なにしろこの後の質問者が公明党の山口那津男なんである。
「この場は補正予算の審議をする場であって、石井一は根拠の曖昧な資料をもとに何をやっているんだ」と文句を垂れます。