ほぼ足りてまだ欲 その先

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完結

 季刊雑誌「考える人」No.23 2008年冬号 新潮社刊
これで60冊全てを書棚に揃えることができたので、「完結」とした。2002年に創刊され、2017年春号の60号で終了した。もう最後の方は、よれよれで、薄べったくなり、「あぁ、こりゃ永いことないな」を如実に体現して消えた。最初の頃は勢いがあった。これでもか、これでもかという力があった。企画も良かった。
 創刊からずっと楽しみにしてきたのに、この号だけは避けて歩いたのが仇となった。なぜ避けて歩いたのかというと、それはこの号の特集にある。表紙になっているように、河合隼雄は2007年の7月に脳梗塞で79歳で死んだ。その追悼特集号である。不思議とこの号だけはネット上の古本屋ではバカ高い。その辺の古本屋でも見つけたことがない。なぜかがわからない。そうこうしているうちに、この号には立花隆との対談が収録されているというのをどこかで知った。矢も盾もたまらず、すぐさま発注してしまった。それが今日届いた。ところが、なんとこの立花隆との対談というのは1996年に新潮文庫になった「マザーネイチャーズ・トーク」からの再掲だった。思いっきりがっかりした。
 河合隼雄は晩年文化庁長官なんぞをやった。ユング派の心理学者で、彼の名前を標榜してというか、利用してというか、彼が率先してというか、日本の国家試験でもなかった「臨床心理士」資格を作り出したところから世の中の動きがおかしくなったといっても良かったかもしれない。
 あれから河合隼雄を敬遠して歩いてきた。

 「マザーネイチャーズ・トーク」を入手してみると、なんとこの立花隆河合隼雄の対談はそんな生なかな分量ではない。文庫とはいえ、54ページにわたっている。冒頭は河合隼雄のお兄さん、河合雅雄との対談でこちらは50ページ。
「自己破壊的なものを持っているというところが人間の特徴なんじゃないでしょうか。」(文庫 p230)