天気は良くて、おひさま燦々と輝いているというのに、吹いてくる風は殊の外冷たくて手袋をして、ホッカイロを背中にしょって出かけたのである。それでも自然に日向を求めて歩いている自分に気がつく。そうだ、あそこのソメイヨシノはどうだろう、こっちのソメイヨシノはどうだろうと点検して歩くけれど、どこもこれひとつといって花は綻んでいない。しかし、蕾にはホンの少しだけ色がついてきた。遠くないうちに開きそうだ。
戦後の混乱を追いかけている人が、それほどではなくても、かなり連続して現れているようで、この本も2022年の12月に出版されたもので、それ程昔のものではない。この本を図書館で見つけたときに、どうもこの著者の名前に見覚えがあるような気がした。その時は思いつかなかったけれど、芝田英昭さんは私の母校の教員だったそうで、そういえばお名前をお見かけしたし、お顔も拝見したことがあるような気がする。それでも、あの学部の方がなぜこの著作なのかについては、本の冒頭で詳らかになっている。
2018年の出版で著者はこれ以前にも関連著書を著しているそうで、それと前後させて読むべきなのかも知れない。