ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

真打ち

落語協会から発表があり、来年、春・秋の真打ち昇進者が決まった。

来年3月下席から
柳家緑太(柳家花緑門下)
柳家花飛(柳家花緑門下)
林家けい木(林家木久扇門下)
柳亭市童(柳亭市馬門下)
柳家吉緑(柳家花緑門下)

9月下席から
柳家やなぎ(柳家さん喬門下)
林家なな子(林家正蔵門下)
吉原馬雀(吉原朝馬門下)
入船亭遊京(入船亭扇遊門下)
金原亭馬久(金原亭馬生門下)

金原亭馬久は十一代目金原亭馬生の弟子で、馬治、小馬生(知らないうちに馬玉が改名)、三木助が兄弟子で、四番目の弟子ということになる。
2011年の8月に馬生の同級生が主催する「木挽町寄席」で見たのが最初だろう。

 私は馬生と同年齢だけれど、別段同級生でもないが、私の大学の先輩が「木挽町寄席」の会場である「銀座神田川」のオーナーで、彼は馬生の中学の先輩という関係で、この落語会に毎回顔を出すようになった。初めてこの会に行ったときは、馬治と、当時駒吉といった今の小馬生がまだ二つ目で、確か一門会の切符を売っていた記憶がある。2005年に今の三木助が入門して、駒春。先代三木助の甥っ子、つまり先々代三木助の孫にあたる。預かり弟子、という形なんだろうか。頼りなさそぉぉな表情だったのを覚えている。
 馬久が来たときも心細そうだったけれど、声だけは大きかった記憶がある。昔から、声が大ききゃ、どうにかなると、私は思っていた。高校の落研のときも、声を出せ出せといった。決して巧い前座じゃない。近頃は大学の落研で「素人にしちゃ巧いよねぇ!」と舌を巻くのがいくらでもいるけれど、馬久は不器用だった。粋でもないし、器用でもないし、ピシッと格好がつくわけでもない。誰も唸らない。いわゆる様子も良くないよ。知らないうちに嫁さんもらっていたけれど、そういうところは器用なんだろうか、といってみたくもなる。だけれど、実直なんだよね。真面目に長い噺にも挑戦してきているし、芝居の会も続けている。馬生一門だから当然踊りも通っている。
 はっきりいって嫁さんの春風亭一花には端っからのフラみたいな、ちょっとした独特の良さがあるんだけれど、馬久にはそんなのはない。だけれど、確実だし、素直で、これは爆発はしないけれど、聴かせる噺家になるだろうと思う。
 大学の後輩だからという依怙贔屓はもちろんあるんだけれど、こういう実直な、チャラチャラしていない、噺家を大事にしたい。


「追記」
昔のブログをひっくり返してみたら、馬久はまだ前座見習いの時に師匠にくっついて2011年3月の「木挽町寄席」に来ていた。

nsw2072.hatenadiary.jp

 ちなみに同期真打ち昇進予定の吉原馬雀は、元はといえば四代目三遊亭圓歌の弟子だった天歌の井上雄策であり、圓歌パワハラ問題で破門ということになったものを吉原朝馬が昨年の7月に弟子としたものである。今の今までその四代目の圓歌って誰だよと思っていたんだけれど、顔写真を見て、あぁ、あのテレビのCMで見たことあるなとわかった。今まで、あれは一体誰だろうと思っていた。


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