ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

今日の杉本先生

 NHKラジオ深夜便木曜日に隔週でメルボルンのラ・トローブ大学の杉本良夫先生が出演して、豪州の話題をお話になる。

  • (私も愛用している室内履き)

 秋が深い。書斎から見ると前にある大きな楓の葉が色づき始めている。最高気温も20度前後で朝晩は冷える。オーストラリアではシープスキンで創られ、内部は羊毛の履き物、総称するとモッカシンというアグブーツが使われる。秋から冬にかけてはこの室内履きを愛用する。アグというのはUGGで、これはuglyの略称だといわれる。しばらく履くとだぶだぶになるからだといわれている。最近は女性がこの長いものを外で履いているのを見る。土産物として買っていく人が多い。羊の背中に乗った国だから。20世紀の初めWW-Iの時に飛行機のパイロットが履いていたというし、農家の人が使い始めたといわれている。1960年代からはサーファーたちが履いていたという。家の中ではスリッパのようなもので、オーストラリアでは普遍的。

 IVFの技術が豪州では広く使われるようになって30年近くなる。この間に1万人を超える子供が体外受精で誕生。一時期試験管ベービーなどと呼ばれた。すでに20代になった人たちがいる。自分がそうして生まれてきたことを堂々と公言している人たちがいる。そろそろニュースとならなくなってきているが、実は問題が二つある。
一つは独身女性に体外受精を受ける権利があるか。ホモセクシャルの女性も権利があるか。反性差別法に違反しているという主張がされている。豪州ではこの分野の決定は各州に任されているが、ビクトリアでは事実婚で許可するということになった。2000年にシングルの女性も体外受精治療を受ける権利があると判決が出た。しかし、ジョン・ハワード首相は法を改正して、レスビアン、シングルには認めないとして主張した。州政府はこれを受けられる方向に動き出した。カトリック教会が反対判決を求めて最高裁判所に持ち込んだが、棄却され、今のところ正式に結婚していない人たちに対しては中央政府は反対、州政府、司法は認めるという状況になっている。
 もう一つは成人してからこの子供が父親に会いたいという希望を持った時にどうするのかという点である。1980年代半ばになって、精子の提供者は生まれた子供に全く権利がなく、子供も父親に対して権利を持たないという判決が出た。しかし、ダニエル・ヒースさんという女性は彼女が3歳の時に両親が離婚。17歳の時に自分が体外受精児であることを知る。では、自分の血のつながりを持つ父は誰かという疑問を持ったが、精子提供者の匿名性が重んじられていた時代の受精時であったので、なかなか見つからなかった。現在では精子提供者が足りないことからイベントが多く開かれ、その会場で知り合った男性が自分の父親である可能性が見いだされ、DNA鑑定をした結果、99.8%の合致。この男性、ピーター・ブラウン氏はその後自分に子供がなく、結果として突然自分の子供に出会うこととなった。最近、州によっては要求があった場合氏名を公表しなくてはならないとするところもあるが、反対は大きい。提供者の中には最近は年齢が高くなっている人たちが多い。匿名性が失われると今でも不足気味な提供者がより減少するであろうというおそれを持つ人もいる。情報公開の是非をめぐる論議は続くであろう。
 明日は母の納骨である。