ほぼ足りてまだ欲 その先

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都立日比谷図書館、千代田区へ移管

 というニュースが先月末に流された。ここまで来ると東京都はそのつもりだろう。多分最後は東京都立図書館を広尾の中央図書館だけにするつもりに違いない。多摩図書館ではみなさん2001年から警戒警報を発しておられるようだけれども、慎太郎都政はそんなものはどんどん切っていくつもりだ。そして、オリンピックに力を入れようってのか?

  • 都民カレッジもそうだった。2001年という年は東京都が補助金を無惨にもばっさり切ってしまったので、「都民カレッジ」という都民向けに開かれていたとてもレベルの高い、そして非常にユニークなメニューで評判だった公開講座が終わってしまった年だ。朝日や読売、はたまた各大学が主催している公開講座に行けよといわんばかりであった。まず第一にもちろん参加費が安かったこともさることながら、ひとつの大学では決して創り出し得ないバリュエーションを持っていた。私は都立老人問題研究所の方がレクチャーされる「中年からの老化防止」という8回コースを受けたことがある。なんだか、今度の介護保険改正の標語にでもなりそうな題名だけれども、実は高齢者問題の全体像をつかむことができた。他にも発達心理学の基本を非常にアカデミックに、あるいは「ハリウッドに見るアジア人」を直接村上由見子さんのレクチャーで受け、アメリカ音楽の源泉なる講座まで聴くことができた。他にもいくつも興味深い講座があったものであった。

  • あの日比谷図書館千代田区に移管されると何が起きるのだろうか。まず運営予算は千代田区だけでまかなえるとは思えない。となると、人員も削減し、運営費用も削減していくことになる。これまでのままで運営し、それを千代田区が負担できるのであればなんの問題もないが、そんなことは考えられない。何しろ千代田区の人口は4万人にも届かず、普通会計の歳入は平成15年でたかだか506億円である。つまり、利用者にとってはサービスが明らかに低下するということである。

  • 私はほぼ毎週地元の区立図書館を利用している。これまで貸出冊数は20冊であったものがついこの前から15冊に制限されるようになった。なんの意味があるのかよく分からない。充分な数だ。しかし、新刊本の導入はとにかく遅い。その点は既に諦めている。導入については都立図書館は早い。しかし、これも区に移管されればそんなことはもう期待できない。ましてや他区に住む都民にとっては飽くまでも連繋で借り出す手だてしかなくなる。「地方にできることは地方に」から「地域にできることは地域に」といえば聞こえは良くて、この時代、誰も文句が言えない合理主義のように見える。しかし、これは知も富と同じように二極分化していくそのための促進剤である。そもそも図書館というものがなんのために存在するのかという根本論を語らなくては意味がない。それすら擁護できない作家は多分自分の印税のことしか考えられない人だと思う。ま、それならそれでも良いのかもしれないが、地域住民に対する普遍的サービスの提供を止めようという明白な後退策でしかない。オリンピックなんてやらんでいい。