西岸良平原作、ビックコミック連載が日本テレビ、小学館、東宝なんてところが金を出して映画になった。来月公開。昭和33年が舞台。東京タワーができた年だ。横浜や清水に暮らしていた私は工事中の東京タワーをこの目で見たことがない。初めて見たのは清水(今は静岡市にのみこまれてしまった)の小学校から日帰りで行った横浜・東京遠足の時に登った時だ。イヤ、正確にいうと上りはエレベーター、帰りはとことこ降りてきたのである。
団塊の世代をそろそろターゲットにすることにしたのだろうか、映画界。
あの時代は「みんなが貧乏」だった。だから耐えられた。それが普通だったからだ。卓袱台で飯を食うのが普通だった。夏の子どもはランニングに半ズボンが当たり前だった。夏が来ると麦わら帽子を誂えるのが普通だった。冬には朝一番におふくろが炭をおこして、「危ないよ!」といいながらこたつに頭を突っ込んで炭をいけるのが普通だった。みんなやることがなかったからつるんで遊びを考えた。一人で遊ぶなんて考えられなかった。家族みんなが並んで寝るのが当たり前だった。玄関に立てばそのうちのあらかたは分かった。みんな同じだった。