恒例の「鹿芝居」にいく。
- 柳亭市朗「金明竹」
- 林家彦丸「饅頭こわい」
- 金原亭世之介「♪山寺のぉ、で形態模写:市川団十郎、中村芝翫、市川猿之助とやってきて最後にお得意の立川談志
- 古今亭菊春 あれ?なにやったんだっけ。
- 林家正雀「湯屋番」、途中でやめといて彦六と勘三郎バージョンで「奴さん」を踊る。正雀は彦六最後の弟子。何たって歌舞伎が好きで好きでしょうがない。こちらがおられないというと「鹿芝居」は始まらない。
- 金原亭馬生「子ほめ」
- 蝶花楼馬楽(どうやらこの人は私と同じ歳)
- 馬楽が前に振っていた通りに二匹の獅子舞を馬治と馬吉がつれて客席をめぐり、ご祝儀をいただく。最後に高座で獅子を脱ぐといつものように中に入っていたのは菊春と世之介。肩で息をする。
中入り後は「仮名手本忠臣蔵七段目 一力茶屋」幕が上がるとお噂通りに義太夫が上座に。「娘義太夫だ!」といってから、訂正。女義太夫だ!なにしろ本物である。太棹もいい音ですなぁ。
- 大星由良之助:金原亭馬生
- 大星力弥:金原亭彦丸
- 斧九太夫:古今亭菊春
- 鷺坂伴内:金原亭世之介
- 幇間馬助:金原亭馬治
- 幇間彦吉:林家馬吉(国立演芸場のチラシでは彦丸と入れ替わっているような気がするんだけれど・・)
- 寺岡平右衛門:蝶花楼馬楽
- おかる:林家正雀
何たって今回は馬楽と正雀の力に負うところ大。しかし、しかしである。ちょっとまともな歌舞伎になり過ぎで、なんで「鹿芝居」でやってんのか、わけわかんなくなっちまうのだ。やっぱり、ここは菊春の登場とともに、「北島三郎かよ!」と思えば「イヤ、よく見ればそのなりは・・・鈴木宗男だよ!」なんてところが面白いのであって、いくら今日も山川静夫が来ているからって(そういやぁ、去年私が鹿芝居を見た日にも山川静夫は来ていたなぁ)、そんなにマジにやってもらってもなぁ・・。どうやら今日の夜の部(金曜日だけは夜の部がある)の入りがいまいち、というか今三くらいらしくてしきりに世之介が「夜の部もどうぞ」と呼びかけるけれど、いくらなんでも昼の部が4時10分に撥ねてから6時の夜の部にくるってぇのはもの好きって位のものである。この種の出し物は多分人生の手練れものでないと、中入り前の出し物に神経がいっていないんだし、中途半端になってしまうので、耐えられないのである。その種の手練れものは夜は家に帰ると決まったものなんだな。金曜日の夜に来るというのは昼に仕事をきちんと抱えていて、それでも見たいという余程の好き者なんである。だから、それほどこの種のものの「好き者」がそれほどこの帝都にはいないと云うことなんである。皆さん真面目な寄席ファンなんであろう。その証拠に「花形演芸会」は結構席に空きがあるという。
「じゃら、じゃら、じゃらとじゃらついてぇ」なんて定番のせりふも正雀がいうと本当に歌舞伎だ。彼はきっと本当は歌舞伎界で女形をやりたかったのだけれども、多分それはかなわないからってんで芝居噺に生かそうと、それなら先代の林家正蔵だてんで弟子入りしたんじゃないだろうか。全く私の勝手な想像である。
さすが世之介の謎解き:お雛様とかけまして、仮名手本忠臣蔵と解く。そのこころは:三段、五段、七段とございます。お見事!
私たちの前、左前方方面はどうやらお仲間のご様子で幹事さんがおられて皆さんの分を一括して取りそろえているらしく、お一人お一人が取り出すチラシにはかがみのご案内がついている。結構な人数のお仲間のご様子。私のおとなりの女性はお一人で来られていて、前座の話から「くすっ!」とお笑いになる。結構なお楽しみのお姿に、あぁ、初心に還らなくちゃな、と反省をした次第。