ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

他に方法がない・・・のか。

 TBSの日曜日夕方といえば田丸美鈴の「報道特集」である。今日は前半は浦安の無認可介護施設「ぶるーくろす癒海館(ゆかいかん)」の拘束を含む虐待事件がテーマだった。全くの無認可介護施設というものが存在しえるというのが現在の日本の立法の現状だということに改めて確認をする。元もとこの事件は三ヶ月間だけこの施設で働いた経験を持つ男性職員の内部告発から始まっている。10数人の利用者に対し、厨房担当者以外には職員は4人でそのうちの3人は住み込みではあるが19時に勤務が終了して、それ以降は全く利用者に対しての介護サービスは行われないのだという。従って閉じこめ、拘束しておかないと様々なことが起きてしまうというわけである。この施設のパンフレットには「終末型有料老人ホーム」と記載してあった。入所金が30万円で月々の費用が月額15万円だという。格安である。
 「有料老人ホーム」という枠はこうした枠でもある。つまり、ピンからキリまで存在する枠である。その辺のマンションに何人か集まって暮らしているのとなんの変わりもない。だけれども家族はそれでも生活をこれまで通り続けることができるというわけである。15万円で一ヶ月間預かって貰うのは安いのか、あるいは安くないのか。市当局による立ち入り調査も事前通知付きの昼間の調査だから実態なんてわかるわけもない。それで良しとする背景にははっきり言ってこの種の施設を黙認するしか方法がないからなのではないだろうか。病院でもほぼ高齢者の収容施設ではないかと思われる病院だって存在している。
 なぜこのようなあたかも「なんでも良いから預かる」型施設が存在しえるのかというと、それだけニーズがあるからである。いくら在宅介護でできるだけそれまでの状況と変わらぬ形での生活を保っていこうとしても24時間の在宅介護を受けるには相当な費用がかかる。今の介護保険の中で賄うのは難しい。金さえあれば話は違う。しかし、今のこの状況ではそんな在宅介護を受けられる人はほんのひとつまみ程度。すると施設に入れて貰えればどうにか24時間介護を受けることができる可能性が高まる。しかし、そちらの施設にはながぁ〜〜い列がいつまでもできている。列が解消した、すっかり列はなくなっていつでもお世話になることができるようになったという話は全く聞かない。そしてこれからこの国は高齢化率がもっともっと高まってどんどん絶対数が増えることが誰も彼もがわかっている。だから、解消するはずもない。ある県の介護福祉課の担当者は実態を把握する方法がないという。そんなはずはないだろう。やる気がないだけである。地域社協もやる気になればできる。しかし、これまでこの分野の行政、そして社協はそんなことをやる立場に立ってこなかったし、行政の側は長らくこの分野を担当するのは中でも影の薄い分野だと思われてきたわけだからどうしてもポジティブに立ち向かうというベースが弱い。個人の資質に依ってしまう。組織で立ち向かうためには絶対的な基盤が必要である。そのためにはこの部分については「大きな政府」と成らなくては実際に執行できないのだ。誰かが大声で怒鳴り立てて行ってしまった「小さい政府」とはこうした部分をどんどん斬り捨てるということに他ならない。経常利益前年比100%超増なんていう利益追求法人の法人税をサービスしてやろうなんて発想を持つ政府はこれから先の社会をまともなものにする姿勢にあるとはとても思えない。
 その上、介護サービスに従事する人たちには低賃金という全く徹底的にやる気のわかない要素が張り付いて離れない。全く改善されるであろう傾向すら見られない。結婚する気持ちにも成れない状況にもかかわらず、子どもを育てようと頑張る人たちには本当に本当に頭が下がる。どこまでも前向きに頑張ろうとする若い人たちにきちんと報えるようなシステムを作り出せないことに歯ぎしりをする思いである。
 さて、話は戻って、介護の世界は一体これからどんなことになっていくのだろうか。表の状況が将来の状況を見据えた施策となっていない限り、裏の状況がどんどん予想のできない形態まで生み出して発展してくであろうことは当たり前のことである。私がいくら生きたとしてもせいぜい後20年(そればっかりいっているんだけれど)。その間にこの分野の施策が驚くほどの発展を見せて「あんな心配していたけれど杞憂に終わって良かったねぇ」なんていえる時が来るだろうか。あんまり望むべくもなさそうな気がする。ピンピンコロリを願うしかなさそうだ。さもなくば、こんな類の施設で消耗して終わるのかも知れない。そんな時、いわれるんだろうか。「おまえは昔、この種の施設をこきおろしただろ?えっ!白状しろ!これでも白状しないか!」と両手を縛られてしまうのかも知れないなぁ・・・。そして私はぽつんと言っているのかも知れない。「あぁ、おしりのあたりが気持ち悪いなぁ、だけど手が動かないや。もう、どうにでもなれ・・・」あたりはコトリとも音がしない・・・。