テレビをつけてうろうろしていたら、NHKの教育テレビで「スーダラ伝説」という植木等の番組をやっていて、これが面白かった。前にフランキー堺のシティ・スリッカーズからハナ肇に引っこ抜かれる時の顛末をラジオの谷啓の話で聞いたことがあって、あの時は思いっきり笑い転げた。あの時代の話はいくら聞いても面白い。それにしても植木の息子が比呂公一という作曲、編曲者だと云うことを初めて知った。多分彼も団塊の世代だろう。ということは植木は随分と若い時に子どもを持ったということになる。どこで撮影したのか知らないが植木等が淡々と語るインタビューを中心に関係者のインタビューで検証していく。なにしろ永年人前でやってきた人ばかりだから話は旨いし、展開もおかしい。フジテレビが開局して始まった「おとなの漫画」のラジオテレビ欄がアップになると、その下の「宝塚中継」が天津(あまつ)乙女と春日野八千代と書いてあって連れあいと二人でしきりに懐かしがる。そんなことを含めてかみしめた番組だった。最後の犬塚弘、谷啓、桜井センリが参加して息子が編曲したオヤジの唄のメドレーを聴くシーンはそれまでの語りの面白さに比べるととってつけたようで面白くない。「夢を食いつづけた男 おやじ徹誠一代記」(植木等)は1984年に出版されたようだけれども、私の書棚にあったものは1987年に出た朝日文庫である。普通だったらばタレントがオヤジを語るような本はもっと芸能系の出版社から出るものだろうに、これが朝日文庫になった理由はこのオヤジの徹頭徹尾のフェアネスに対する戦いの人生にあるのだろうと思う。私はこのオヤジのような死生を賭けた人生を送っていない。ただただ恥じるばかりだ。
そうこうしているうちに近所の友達から電話があって「昼からみんなでまったりとしているんですけれど、今日が誕生日の二人の祝いをやろうとしているのできませんかぁ」という。解凍し始めていた魚をまた冷蔵庫に戻して、自分の飲み代(のみしろ)をもっていく。また呑みすぎたかも。