ほぼ足りてまだ欲 その先

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戸籍

 なんだかんだと実家のあらゆるものを整理するということにしたのだけれど、その作業の過程でうちの今は亡きオヤジとオフクロの戸籍をしげしげと見る機会に恵まれた。
 驚くことにこれまで三男だと思っていたうちの親父は次男で他に姉がいる。そして今改めてオヤジが末っ子だったという事実に気がついたのだ。親父の両親を私は全く知らない。早くして亡くなったと聞いている。実家に行くと不自由な足をかばって(脳梗塞を病んだのだろう)田舎らしくもなく椅子に座っていたのは親父の兄貴だった。親父はお婆さん(つまり私の祖母)に育てられたと聞いている。
 親父がいつまでも自分を第一扱いにして欲しいという仕草を見せていたのは、あの実家の中での自分の存在の裏返しだったのかも知れない。そして親父の兄嫁(つまり義理の姉)がうちのオフクロのおばさんなのだ。つまり親父とオフクロは血は繋がっていないけれど親戚関係での結婚だということだ。ま、昔の田舎のことだから、交際範囲なんて広いわけはないから、こんなケースはいくらでもあっただろう。現実に親父の実家とオフクロの実家は今見ると直線で約8km、今の道路で行くと11km位しか離れていない。これなら歩いたって3時間くらいで行けてしまう距離だ。
 そういえば連れあいの両親の実家に至っては直線にしたら2kmくらい、山道をたどって行くから実際は4kmほどあるが、川を挟んでこっちの山から向こうの山が見えてしまう距離だ。そうそう、来年の墓参りツアーには双眼鏡を忘れないようにしよう。
 だから、どちらの家も家の中ではそれぞれの実家の習慣がきっちり残っていた。それはもちろん雑煮から、言葉の端々やら、それぞれの故郷の食材なんかが出てくる度にそんな色を濃く見せていたのだ。
 しかし、それも私の世代になるととっくにどこかに雲散霧消していて、テレビで見たレシピーで何かを作ってみようとするし、言葉に至ってはもう全くそんな色はない。
 ところが不思議なことに段々歳を取ると、親が普段に使っていた言葉が端々に出てきてしまったりする。それに気がつくと、一瞬考え込んでしまう。まだこの歳になっても親父やオフクロが私にまとわりついているんだと。