昨日はキャンディーズのスーちゃんのお葬式のテレビ番組ばっかりで、ちょっと辟易気味だったのだけれど、出棺に際して、スーちゃんのことばが録音されたものが流されたそうで、さすがにこれを聴いたときは思わず身体の動きが止まってしまった。現場にいたわけではなかったけれど、こちらでその全文を読むことができる。どこかに肉声がアップされるかも知れない。
これを聴いていて思いだしたのは、6年前のうちのオフクロの葬儀の時のことだ。通夜の時まで知らなかったのだけれど、告別式を本当にオフクロに親しい人びとでつましく行ったときに、突然すぐ上の姉が小さな安いテープレコーダーを取り出して「母から皆さんにご挨拶があります」といって、おふくろの声を流した。うちのおふくろは最後には認知症が進んでいて、殆ど今何がどうなっているのかわかっていないんだろうとうかがわせる状況だったのだけれど、まだ「まだら」模様であった頃に、姉に「もしもの時の挨拶を録音したいわ」といったのだそうだ。テープの中のおふくろの声は衰えてはいたけれど、確かにまだ言動がはっきりしているときのおふくろの声で「みなさん、ありがとうございました」と語っていて、私は絶句した。
これを録音したときのおふくろがどれほどの覚悟で録音したのか、想像する他はないけれど、先に他界した親父が「ありがとう」とたった一言残しただけだったのを見ていたからなのかもしれない。