ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

念のため

 NHKの会長人事について様々なことが報じられていたけれど、昨年末の新聞記事関係がサイト上から消えていくので、ここでメモ替わりにピックアップしておく。

会長人事で委員長批判…NHK経営委員、透明化求め抗議文 FujiSankei Business i. 2007/12/20
 NHKの次期会長人事をめぐり、NHK経営委員のうち2人が19日、東京・渋谷のNHK放送センターで記者会見を開き、古森重隆経営委員長(富士フイルムホールディングス社長)の議事運営に対し「独断的に過ぎ、到底、支持することができない」と批判。選出過程の透明性確保などを求める抗議文を送り、回答を求めた。経営委員が委員会運営への抗議の会見を開くのは極めて異例。
 会見を開いたのは菅原明子(菅原研究所所長)、保ゆかり(オフィスピュア代表)の2委員。
 2人は(1)会長選出の過程を議事録などで公開する(2)少数意見を含め民主的な議事運営を行う(3)委員長個人の“意中の人物”があるとしても、各委員からの推薦も平等に扱う−の3点を求めた。
 菅原委員と保委員は「経営委員長が議事の仕方を改め、民主的な方法で経営委員会の運営がなされない場合、辞任を覚悟している」と述べた。
 古森委員長は、25日に新会長を決定する方針を明らかにしているが、2人は「もっと時間をかけて議論すべきだ」と主張。13日の経営委終了後に橋本元一会長の再任を見送る方針を示したことについても「今の段階で再任しないと言うべきではなかった」との考えを示した。会長は経営委員12人のうち9人の賛成により任命される。橋本会長の任期は来年1月24日まで。
 NHK経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)は19日、菅原明子氏ら2委員がNHKの次期会長選出をめぐる議事運営を批判したことに関するコメントを発表、「一方的な運営をした事実はない」と反論した。また、橋本元一会長ら現執行部を後継会長の候補者から外すと全会一致で決めたことについても「記録に残っている」と指摘。反対した委員や回答を留保した委員がいたとする菅原委員らの訴えは、事実と異なると主張している。

他の記事によると(特定ができていない)、

(上記二人の委員は上記会見の席で)13日の議事メモを公開。古森氏が「自分がノミネートする人物は、追って皆さんに直接ご紹介したい。ただし、そこで否定されると本人のメンツがつぶれるから困る」と発言したことを明らかにした。

 これでは私が決めたものをそのまま呑め、といっていることになってしまう。この記事ではこうも続いている。

 両氏の主張に対し、ある総務省幹部は「あの議事録は2人だけでは作れないだろう」と、背後にNHK内部の協力者がいるのではと指摘。別の総務省関係者はあきれた表情で「くだらない内輪もめだ。だが、これで会長選びは白紙に戻ったのではないか」と語った。
古森重隆委員長の話〉 本来経営委員会の中で議論すべき内容で、なぜ他の委員への連絡もなくこのような運びとなったのか驚いている。指名委員会の議事について、一方的な運営をしたという事実はなく、現執行部を会長候補対象外とすることは全会一致で決定し、外部を中心に検討していくことも圧倒的な多数の意見として記録に残っている。

しかし、結局この新会長人事はこの決定のまま富士フィルム・ホールディングのおじさんが推薦したアサヒ・ビールのおじさんが新会長に就任した。
NHKの経営委員会では昨年の12月25日の議事録を公開している。→こちら
その中で古森経営委員会委員長は自身が推薦した福地茂雄元アサヒ・ビール代表取締役社長兼CEOについてこう発言している。

福地氏は、あれだけの企業を率いてきちんとした実績を挙げています。会長候補になることを引き受けられた時に、今まで長い友達だから決めたということを言う人だと思いますか。そんな人ではないですよ。経営者というのはそんなものではありません。友達だから決めるというようなことでは会社がつぶれます。NHKだっておかしくなってしまうでしょう。そんな人ではないということは断言できます。

 これは記録として残しておく必要があるだろう。この意見の後、野間光輪子委員((有)望月代表取締役一級建築士)、多賀谷一照委員長職務代行(千葉大法経学部教授)から「藤原氏は、毎日新聞社の非常勤監査役をおやりになっています。非常勤監査役も役員になりますので、法律的には、候補者になり得ない」と指摘があり、会長候補から除外されたと記録されている。
 藤原作弥:1937年生。東京外語大仏語卒。時事通信。1998年〜2003年日銀副総裁。(wikipediaより)
 これを読むとどうやら会長の候補者としてこの委員会で語られたのはこの藤原氏を含めてわずかに二人だということが想像される。いずれにしろこの委員会が会長選出について機能を果たしているかというと、なかなかそれは簡単には第三者から納得され得ないのではないだろうか。
 2008年1月23日の中日新聞の社説はこのように書いて警鐘を鳴らしている。

 橋本氏は事態の深刻さを軽視した、という批判がNHK内部にもある。信頼を失って再び受信料の不払いを招いてはという、ためらいが後手の対応になったのだろうか。
 安倍晋三前首相はNHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員長に自らの人脈に連なる富士フイルムホールディングス古森重隆社長を送りこみ、その古森氏は24日で任期切れの橋本氏の後任に、同じ経済人の福地茂雄アサヒビール相談役を指名した。菅義偉総務相は強引ともいえる手法で、ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うようNHKに迫り、摩擦を起こしている。
 法令順守の軽視というワキの甘さが政治の側につけいる余地を与えたといっても過言ではあるまい。橋本氏の前任、海老沢勝二氏も不祥事を機に会長ポストから去っており、二代続けての引責辞任である。謙虚さを失った組織は何とも危うい。
 1989年以降続くNHK出身者の会長昇格が二十年足らずで途切れる結末となった事実を重く受けとめるべきだ。間もなく会長は福地氏に引き継がれ、経営委員長も現場のトップも経済人という異様な陣容に替わる。政治からの圧力に抗しきれるのか気がかりだ。
 後手後手の対応が報道機関としての中立性や独立性を自ら狭めてしまうことに、NHKはもっと敏感であるべきだ。報道機関は取材内容を報道目的だけに使う。取材はそうした信頼が成り立ってこそ可能になり、広く国民の「知る権利」に応えられる。この当然の覚悟を揺るぎないものにしなければ組織再生は難しい。