ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

遭遇

 二週間に一度出かける木曜日の朝なのに眼が覚めたらギリギリだ。顔を洗って押っ取り刀で家を出る。桜が綺麗だ。ヒマラヤンと覚しき野良猫がゆったりゆったりと歩く。優雅な長い毛にゴミがついているのが哀れである。
 駅の改札までくると三つしかない切符販売機のひとつが「発売中止」となっている。やたらと幼稚園だか小学校の一団があっちにもこっちにも歩いている。何があるのだろうか。と思ったら彼らを引率してきたと覚しき若い女性二人が二台しかない切符販売機を占領して回数券を買いまくっている。切符が買えない。何人もの人たちが並びはじめる。これで販売機を明け渡さなかったら抗議しようと思ったらどうぞと明け渡す。コインを入れたところで電車が行ってしまう。ひとつ電車を乗り逃がす。これで遅刻は間違いなさそうだ。
 乗り換えて一駅ごとに時計を見るがどうも無理そうだ。5つくらい前の駅に停まった時に乗り込んできた人を見て驚いた。かつて勤めていた会社の上司だったのである。尤も彼とは25年くらい前に一ヶ月くらいの間一緒だっただけで、どちらかというとすれ違いであった。声をかけると、向こうもびっくりしている。「どうしているの?」「どうしておられますか」である。
 「私は本当であったら前の電車に乗るはずだったんですが、おかげでお会いできてかえって遅れて良かったですよぉ〜」という。すると向こうが今度は「実はね、僕、反対側に行く電車に乗っちゃって気がついて今引き返すところだよ」というのだ。素晴らしいばかりの遭遇である。尤も二人とも通常のプロセスを辿っていたら一本前で遭遇していたかも知れないが。なんだか今日はよいことがありそうな気分になってきた。
 遅れていったレクチャーも今日はとても興味深い話が次から次に出てきて面白かったし、レビューして資料を追いかけてみたい。