ほぼ足りてまだ欲 その先

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無念

 1982年に竣工して翌年から南極に毎年通っていた海上自衛隊の南極観測支援艦「しらせ」がとうとう解体されることになったそうだ。南極地域観測統合推進本部の発表のようで各紙が「しらせ」の写真入りで書いている。かねてから保存受入に手を挙げる自治体等が見つからず、危ぶまれていたのだけれど、やっぱり廃棄・解体と決まったようだ。
 受入保存するためには船舶としての要因となる部分を改造し、見学公開するためには相当な改造が必要なだけでなくて、係留施設やら付属施設が必要となる。産経ニュースによると「展示用の改修費約10億円のほか、年間約1億円の維持費(2008.10.24 23:38)」がかかるのだそうだ。こうした場合こそ特例となるべき法の適用除外をして、このままの船としての状態のまま係留して良いということにするしかない。
 それにしても、この種の船を保存しても、それを見学に来る人は殆ど期待できない。その証拠に最初に南極に行った宗谷(自衛艦ではなくて海上保安庁艦)は東京・有明の海の科学館に保存されてはいるものの、その痛みは激しく、さりとて保存修復する費用もなく、そのうち朽ち果てて行くに任せるしかなくなるだろうと思われる。第二船の「ふじ」は名古屋に保存されていて、随分昔に見に行ったことがある。
 私は「しらせ」にはひとかたならぬ思いがある。就航時から関係していたし、豪州シドニーにいた三年半の間に毎年南極の帰りにやって来て再会するのが本当に楽しみだった。忘れられない後部飛行甲板でのレセプションは嬉しかったものだ。
 どこで解体されるのか知らないが、もう公開されることなくその命を終えるのだろうか。