タモリ倶楽部を待つ間、日本テレビの番組がコペンハーゲンをやっていて、そこに出てくる建物がとても面白いのと、家具の話に思わず「う〜ん!」と唸り、Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン=1902年2月11日 - 1971年3月24日)のデザインによるFritz Hansenの一脚何十万円という椅子の作られ方に頭を殴られた思いに駆られた。どうしてこんな具合にいつまでも作り続けることができるのかと、羨ましい。羨ましいけれど、どんな経営理念でこのご時世にあってもこうした商売が普通に成り立っているのだろうかと思わざるをえない。これから先の需要としてはどうなんだろうか、ということを思わず考えてしまうけれど、多分そんなことよりはこの技術全体、つまり丹念に作り上げるという技術と根性を続けていさえすればどうにかなるんだろう。もちろん日本でもそうした技術は実はいくらもあって、こうしてテレビで取り上げてくれないだけの話なんだと思う。例えば誰か、硯というものはどうやって作られるのか知っている人がいるかといったらそりゃ数少ないし、江戸指物師(これはなんでこの「師」なんだ?)がどれほどの仕事をしているのか見たことのある人なんて少ないだろう。
それにしてもあの椅子の古いような、モダンといってしまえばモダンといえちゃうようなデザインはずいぶん昔に見ていたような気がする。コペンハーゲンのホテル、Radisson Blu Royal, Kobenhavnは一泊US$300.00を超えるけれど、Arne Jacobsenのデザインによるものだということで、大人気で結構満室になっているらしい。こういうのを本当のデザイナーズ・ホテルというのだろうか。それにしても外観はつまらん建物に見えるなぁ。
デンマークの椅子といえばHans J. Wegner(ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナ)という人も有名だけれど、数え上げていったらまだまだたくさんいそうだ。
椅子といえば、生まれは1796年ドイツだけれど、ウィーンに工房を開いたMichael Thonetの名前を私が聞いたのはついこの前のテレビでの話で、そこで彼の不朽の名作を見た時にこの椅子がそんな昔のデザインだったとはと舌を巻いた。コペンハーゲンのテレビの中でしきりにtimelessのデザインということを強調していたけれど、こっちこそその「timeless」だと感心したのはMichael ThonetのNo.14だろう。今は#214という型番になっているらしい。
何度もいうけれど日本だって負けちゃいない。負けちゃいないんだけれど、どうも、これは私が感じているだけなのかもしれないけれど、日本のマーケットそれ自体が熱しやすくて覚めやすいので、こうした技術や見るからに惚れ込んでしまいそうなデザインを生かしていくという文化がない。ましてやこんなデフレ・スパイラルに落ち込んでいるとこだわっていられなくなっちゃう。「背に腹は代えられない」という言葉で私のような日々を送ることになる。
お大尽の方々がそうした文化を支える役割を担っている筈なので、どうぞ邁進して戴きたい。お任せ申し上げる。
そうそう、タモリ倶楽部は最近0時20分からになっているんだね。巨石だっていっていたけれど、今回はつまらん。