ほぼ足りてまだ欲 その先

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風と共に去りぬ

 先日のテレビ朝日の「ザ・スクープスペシャル」の「消えた東京ローズを追え 戦後65年目の真実」という番組の中で、陸軍中野学校では敵の実情を知るためにビビアン・リークラーク・ゲーブルの「風と共に去りぬ」も見たんだといっていたなぁと想い出す。あの映画は1939年に公開されてその年のアカデミー作品賞を受賞している。1939年といえば昭和14年。戦前である。なのに、あの映画は大天然色で、3時間42分という大長編である。
 日本で公開されたのは戦後も戦後、占領終了後の1952年9月である。私が初めて見たのは多分1963年の春のことだと思う。なんでそう思うのかというと中学卒業直前に三年生だけで大森駅山王口傍にあった映画館に見に行ったことを覚えているからだ。
 鶴見俊輔は戦時中に配属されていたシンガポールで接収したこのフィルムを見たと、日米交換船だったかの中で語っていた。彼は開戦後に交換船で帰ってきたのだから、この映画のことは滞米中に聞いていたのではないだろうか。
 戦争中にあれだけのフィルムを見たら普通の日本人はあまりのスケールの大きさに、とてもこんな映画を作ることのできる国力では闘いを続けても敵わないと腰を抜かしたのではないかと思うけれど、あの南北戦争を描いた映画を見て、米国のなんたるかを学び取ろうとした陸軍中野学校の教育方針は明確にいって間違っていただろう。ま、三八式銃で立ち向かおうとしたくらいの認識だったんだから、妥当な考え方からは外れていたのは仕方がないということだろうか。