ほぼ足りてまだ欲 その先

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人柄?

 例のフロッピー・ディスク改ざん検事事件の関連で彼の上司が二人逮捕されている。映像というのは怖ろしいもので、元副部長はテレビのインタビューで思わず「おまえらなぁ」と答えてしまい、一発で視聴者の心証を害してしまった。
 ところが昨日の報道で一気に流れたのは「東京、大阪、名古屋など全国の弁護士36人が11日、「佐賀元明を支援する会」を発足させた」という報道だった。これはテレビでも報じられていた。
 どうもピンと来ないのは、彼に現在かけられている容疑は起訴された検事の容疑を知っていてそれを検事次席、検事正に正しく伝えず、犯人隠避したというものである。
 それに対して、この会の結成に集まった人たちの思いは、MSN産経ニュースによると「彼の人柄を知る者として、到底犯罪を犯す人物とは思えない。彼の話していることが真実に近いと思う」「彼は正義感にあふれ、検察官になるべくしてなった人。容疑を明確に否認していることから支援することを決めた」「恩師を何とか支えたいという一心で駆けつけた。面倒見のいい、すばらしい教官だった。『私は屈しない。徹底的に戦う』という佐賀さんの言葉を信じたい」というコメントに表れているのだろう。
 しかし、彼の人柄、正義感という彼等が受け止めた印象はこの「犯人隠避」という容疑に対してなにかの反証となるのかといったら心証作りでしかないと思われる。
 元副部長と元部長にかけられた証拠改ざんしたことを知っていながら、そのままにして隠したという容疑を証明するのは非常な困難がある。なにしろ物証が何もない。口答指示しかないだろう。まさかこんなことをメモにして渡すわけがない。それほどバカなはずがない。
 この事件は起訴されただけで有罪確定したわけでもないのに既に不当にも懲戒免職となってしまった前田恒彦ひとりが生け贄となっただけで終わる公算が高い。検察庁の高笑いがもう既に聞こえはじめているようだ。
 それだけにここで「人柄」を打ち出した支援する会を結成し、なおかつ報道に対するインタビューに答えた彼等に大きな疑問がある。
 かつて東條英機の孫娘がテレビに登場して(彼女は2007年に参議院議員に立候補して落選)「祖父は家庭においてはそれはそれは良き夫、良き父、良き祖父であった」と語ることと同じ意味合いしか私には作用しない。いくら家族には、同僚には、教え子には良き人であっても、官僚としてその組織防衛に立ち上がった時にはそれが必ずしも作用するかどうかの決め手にはなり得ない。
 こんなことを弁護士という職業に就いているひとたちが理解できないでいるのだろうか。
 今回のこの事件が私の国の根幹を揺るがすゆゆしき自体を露呈したわけにも関わらず、大山鳴動鼠一匹の結果に終わらせることになるのだとしたら、私たちはどの様に行動するべきなのだろうか。