ほぼ足りてまだ欲 その先

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山口晃展

 今年になって初めて京橋の「京すし」にランチにいった。先月も丁度今頃にいったから月一ペースじゃないだろうか。お店の人がひとり体調を崩して寝ているそうで大変なことになっている。こんなに寒いんだからお店は好いているんだろうと思っていたらしゃりが足りなくなるくらいのお客さんだったそうだ。不思議なこった。それでも閑古鳥が鳴くよりはよい。ここの鮨を食べると他では食べる気にならないのが困る。
 常連さんと覚しき男性が入ってきたと思ったら大学の同窓生でビッグバンドにいたんだという。社会学部の某教授と同級生だという。
 久しぶりに伊東屋さんに上がってITOYAオリジナルはがきを捜すけれど見つからない。以前はカードや招待状印刷なんてことの窓口があってその近くにおいてあったことを覚えているのだけれど、5階で質問したけれど、判明しなかった。
 なんとなく、そのまま帰ろうという気分だったが、銀座三越の前まで来ると「山口晃展」のポスターが貼ってあって、そうそう、確かこの人の絵は何か面白いものだったはずだと思いだし、家人の持つ三越カードでただで入ってみた。すると、案の定これは面白い。とても芸大の油絵を出た人の絵とは思えないペンと水彩を使った、しかも昔の屏風絵を持ちこんでSF的発想をはめ込むという、遊び心満載の絵である。
 表現が細密なところは空山基の感覚に相通じるものがあるように思えて面白い。この人のユーモア、遊び心は「すずしろ日記」で充分感じ取るところが見えるのだけれど、その遊び心も空山基に通じるところがあると思える。それにしても取り上げられている題材なんて見ているととても40歳そこそこの人の仕事とは思えないんだけれど、それは年齢詐称しているからじゃないのだろうか、と思うくらいである。
 山口晃の絵を私はこれまでどこかで見たことがあると思いつつ見ていたのだけれど、それは公共広告機構のマナーポスター「江戸しぐさ」シリーズって奴のことだったと思い出したのは真ん中辺まで来てからのことだ。
 電信柱の発想だとか、トラムの発想だとか、絵の中に持ちこむ意外性やら、精密さなんてものがついつい、面白いなぁと口をポカァ〜んと開けたまま見入ってしまう。
 10日(月・成人の日)で終わりだというのだけれど、これは一度見ておいて話のタネになりそうで面白い。
 最後の晩餐という絵は戦国時代の武将と覚しき人たちがそれぞれに好き勝手に飯を喰らっているところなんだけれど、そのひとりひとりの顔がどこかで見たことがありそうな、正に新橋の機関車の前に通りかかったサラリーマンのおじさん達のようであり、ひょっとすると経団連のメンバーのおっさん達のようでもある。こっちの最後の晩餐に描かれている人はなぜかテーブルの下に小さく描かれている武将を入れても12人でしかない。(この写真はその絵の一部分を使った絵はがきを求め、そのまた一部を撮影したもの。)
 中の展示物はもちろん撮影してはならないのはわかるけれど、なんでもデパートってものは館内全部が撮影が禁止されているんだそうで、見終わってから入り口の雰囲気を残しておきたいとカメラを構えたらやんごとない女性係員の人に何事かいわれた。一緒にいた家人に聴くと、撮影はしないでくれといったのだそうだ。そんなわけでここに掲載されている写真は、入る時に貰った切符らしきものを映したものである。チャンスがあったらご覧になると面白い。