ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

病院から

 昨日から懸案事項への真剣なる取り組みに入っているにもかかわらず、相手はこちらを素人と見ていることがありありとわかる様な、木で鼻を括った対応でしかなくて、はなはだ誠意が見られないこと甚だしい。うるせぇことをいいやがるな、素人のクセに、という気分で書いていることがありありとわかる返答が来た。それでも多分これを受け入れることになるんだろうことが悔しい。
 久しぶりに気に入りの蕎麦やにいって出汁玉子焼きと天ぷらともり蕎麦をとって昼飯にする。いつものことながら玉子焼きは二人じゃ食べきれないから、かねて準備のタッパに半分入れて持って帰るというところが年寄り夫婦らしくて良いんじゃないだろうか。
 午後3時アポイントのCT撮影に病院にいく。相変わらずここのご案内係の人は眠たいんじゃないかという対応で、ズルズルと喋る。撮影室はわかりますか、と聞くから直ぐさまわかりませんと答える。いってみると入院患者なのか、人間ドックなのか、病院のお仕着せを着たおじさんが二人と、かなりなお年を召したご夫婦、車いすに乗った女性が待っている。名前を呼ばれて中に入るとすでにCTのベッドが引き出されていて、そこに仰向けになるや、ぱっぱと身体をベルトで固定し(なんだか処刑される様な雰囲気だ)、頭もベルトで固定された。眼を閉じて下さいと向こうからいわれるとは思わなかったけれど、そのうちに中にずずっと引き摺られ、しばらくするうちに周りをぐるぐる、シャァ〜シャァ〜と音を出しながらなにかが廻っておる。こうしているうちにハッと気がつくと、自分が宇宙空間に浮かんでいて、この音がエンジンかなにかの音だったりしたら面白いんだが、残念ながらちょっと経ったら、音は停まり、人が入ってきて「はい!ご苦労様でした、これで終わりです」となんともあっさりしたものだけれど、きっとこれで既に私は、またまた被爆したんであろう。
 靴を履いて外に出ると、そこにベッドごと運ばれてきた人がくる。お爺さんの様だ。既に気管が切開されている様で、そこからラグビーボールの様なもので空気を送っている様子だ。こりゃ大変だぞ。一体何事がおきたというのだろうか。きっとキャスターに移す余裕がないのか、ベッドのままで運ばれてきたから幅が広くて廊下の切り返しが上手くいかない。
 家人から会計が高いぞ、高いぞと脅かされていたので、会計を待つ間が落ち着かない。向こうの方に刈り上げた頭の後頭部にガーゼを当てて絆創膏を貼って座っている人がいる。仰向けにひっくり返るとかして打っちゃったのかなぁ。落ち着かない様子でトイレにいった。顔をしかめている。痛いのだろうか。帰ってくると下着のシャツがジャージーからはみ出ている。すると後ろにいたお爺さんと30代位の男性が、「シャツが出ているよ」という。するとその後頭部打撲氏は「はい!」と云って立って下着の裾を入れるのだけれど、なかなかうまく入らない。するとまた後ろから「まだ出てますよ」と声がかかる。彼はまた「はい!」と云って立って触っているがなかなかうまくいかない。30代氏が後ろから手を回して入れてあげた。
 そうこうしているうちに私の番号が掲示されて会計が準備できた。おそるおそる聴くと、4,950円もした。これで、一昨日の医療費と合計で既に1万円を超えた。こりゃ辛い。
 駅から地下鉄に乗って表参道を目指す。なにゆえかと申せば、宮益坂上に山田帽子というお店があることを発見したからである。まだ諦めていないのである。お店の中に入るとお客さんはおられなくて、お店の方がおふたり。捜しているのはできるだけ軽い布地でできた山がしっかりしているつば広の帽子です、なにしろパナマじゃ濡れると面倒だし、何年も持たないし、という説明をするとそのお店の方がいたく参道をして下さる。何万円も、いやいや何十万円もするものまであるパナマはお客さんの仰る様に何年もかぶれるわけでもないですよ。しかし、うちでは残念ながらそういうものがないのですよ、歴史はあるんですが(確か昭和2年の創業と仰った)元はといえば学帽やですから、という話だった。帽子業界の事情もほんの少し教えて戴いたので、わざわざここまで足を運んだ甲斐があるというものだ。
 しかし、ここに来て拾いものがひとつあった。それは巽書店(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-6
03-3400-6037)という古本屋さんの棚で見付けたこの本だ。

 なんと、瀬戸内寂聴ドナルド・キーン鶴見俊輔は同じ年齢だというのだ。この三人の話は面白いぞぉ〜!永井道夫も嶋中鵬二も同じ年の生まれだというのだ。この本を500円で手に入れて申しわけのない思いだけれど、この鼎談を企画した人に拍手を送りたい。こりゃしばらく離せないな。

 そしてもう一冊同じ店で手に入れたのはこれ。

真珠貝の誘惑 (オーストラリア・シリーズ)

真珠貝の誘惑 (オーストラリア・シリーズ)

 渋谷の駅まで坂を下りて銀座線に乗り、銀座を目指す。山野楽器で入手したいCDがある。にわか勉強のクラッシックではあるけれど、先日その片鱗を聴いて、気に入ったものだ。まず、ドビュッシーピアノ曲「月の光」で、これがベルガマスク組曲の一部だと初めて知った。古い録音だけれど、ミッシェル・ベロフのピアノを。それからヘンデルのオルガン協奏曲 Op.4でSimon Prestonのオルガン。もう一曲のAlbert Ketelbeyはどうやら区の図書館にあるらしいので、明日また借りて取り込もう。
ドビュッシー:ピアノ名曲集

ドビュッシー:ピアノ名曲集

Handel: Organ Concertos

Handel: Organ Concertos

 教文館に入って、週刊金曜日を入手。そのまま京橋に向かって歩き出し、TORAYAにおそるおそる入ってみるとお客が誰もいない。今度こそと思って、こんな帽子を捜しているといってみる。指を差したのは浅草の店でも見せて貰ったSTETSONのものだった。これがつばの縁を皮でまわしてなければねぇ。この縁取りが重たいのだ。もうひとつかねて眼をつけていたものがあるのだけれど、それを思い切って出して貰ってみると、フランス製で、生地と形は全く申し分がないのに、山の形がちょっとださくて、何よりも縛る紐が垂れ下がっているというのがなんともイヤな13,000円なのだ。軽くて、フォルドしても大丈夫だし、いうことがないのにねぇ。結論は今年の夏は1,500円で手に入れてベルトをボンドで貼り替えたものの、縁がべろべろした状態になってしまった、あの帽子で乗り越えるのだ。