ほぼ足りてまだ欲 その先

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ほたる

 もう寒くなりかかっているってのに、「ほたる」でもあるまいということになるけれど、昨日は向島にある友人のbar「POND」で権太楼の弟子で二つ目の「柳家ほたる」の噺をきいた。
 枝雀がやっていた新作の「幽霊辻」なんだけれど、彼が婆さんの喋りをはじめた瞬間に権太楼のこの噺を聴いたことを思いだした。それほど権太楼の雰囲気そのものだった。芸事の子弟というものはまずそっから始まらなくちゃならない。こういう修行中の噺家の噺を聴くのは面白い。
 それで思いだしたのは志ん輔がまだ朝太といったころ、どこか中央線沿線だったか、彼の噺を聴いて、「あぁ、こいつは志ん朝の弟子そのものだなぁ」としみじみ思ったことだった。それで良い、というより、それが良い。
 と、ここまで来て、そういやぁ馬吉はどうしているんだろう、あいつは良くなるだろうなぁと思いだした。