ほぼ足りてまだ欲 その先

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夏の海

 夏に海へ遊びに行かなくなってもうどれくらいの年数が経つのだろうか。多分この15-6年の間には一度も行っていない。小学校5年の夏休みはほぼ毎日海に出かけて泳いでいたから、あの30数日間でその後の人生の海に出かける分をすべて消化したんじゃないだろうか。
 あの時はたったひとりでも、海に行っていた。まるで通勤でもするかのように。あの動機は一体何だったんだろうか。それまで10m泳ぐのが精一杯だったのに、あの一夏ですっかり泳げるようになった。海に入っていって浮いていたり、潜っていたり、泳いでいたりしていて何不自由がなかった。あの頃波乗りなんてものが今のように普通に存在していたら多分やっていたんだろうなという気がする。残念ながら当時の日本の海にはそんなものはまだなかった。
 40年前、結婚したのが年末だから、その年の夏のことだと思うけれど、連れ合いと、連れ合いの親戚の下田の先の漁村に遊びに行った。近所に良く名の知られた砂浜の海水浴場があるのだけれど、その家は潜りで伊勢エビやら鮑を採取している漁師の家だった。真夏の時期は伊勢エビ、鮑は禁漁の時期で、出てはこないのだけれど、鍋一杯に煮たトコブシが出てきた。今だったら、いやいやとかいいながらにやにやしながら手を伸ばすわけだけれど、当時はトコブシなんて鮑のちゃっちい奴みたいな扱いで、「ま、こんなもんですまねぇが、食べてくりょう」といわれたものだ。今から考えると実にもったいない話だ。あの時は帰ってきてから一気焼けで水ぶくれになって往生した。
 その後は子どもができてから一度は連れて行かなくちゃならんといってみんなで三浦海岸へ京浜急行で行った記憶があるくらいだろうか。
 豪州にいた頃は釣りには何十回と行っているけれど、海で泳いだ記憶がない。ボンダイ・ビーチも、マンリーも、アンナ・ベイも何度も行ったけれど、一度も泳いでいないはずだ。死ぬまでに海に入るチャンスがあるだろうか。