ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 もう50年ほど昔のことになるけれど、伊豆の海へ行ったことが何度かある。私が行き先を決めたことは一度もない。いわれるがままに人にくっついていったという印象である。

 そのうちのひとつが吉佐美という海水浴場だった。とても綺麗な白い砂浜が拡がっていた。伊豆急下田からバスで行って、民宿に泊まった。全く人がいなくて、海に入っても、白い砂の海底がそのままずっと見えていた。多分そこに船を浮かべたら、良く旅行の広告に出てくるような宙に浮いた船に見えるような、本当に透き通った水だった。覚えているのはそのことと、浜辺に誰もいなかったことと、お昼を食べるにしても、茶屋のような小屋が一軒建っているだけだったことだ。試しにそこへいってみると、おばさんがひとりでいて、ひるめしがわりにたべられるものといったら「インスタントラーメンを作る」だけだという。そのおばさんが作ってくれたインスタントラーメンが実に旨かった。あれから一度も行ったことがない。

 もう一カ所はそれよりももっと石廊崎に近いところにある、弓ヶ浜海水浴場だ。ここは吉佐美に比べたら、当時からとても有名で、海水浴客でごった返していたのだけれど、それは多分社会人になってからのことだ。季節が正に今と同じお盆休みだったからだろう。多分、吉佐美もごった返していたのかも知れない。知り合いのうちに泊めて貰って、トコブシが器に山盛りになって出されたが忘れられない。あんなに際限なく食べたことはそれ以降ない。いや、というより今じゃ、トコブシにお目にかからない。帰りは混むからと天城峠を夜中に越えて帰ってきた。