ふと気がつくと、この階の住民8所帯のうち、17年前のできた時からの住民がたったの2所帯に減ってしまっていた。しかももう一軒の住民が、これまで一番つきあいがなかったというのも、皮肉なものだ。
2号室に至ってはもう既に三代目だ。3号室と7号室は80代の女性が旦那とだったり娘とのふたり住まいで、どちらも首都圏近郊からの引っ越しだという。良くもまぁ、そんな歳になって引っ越す気になるなぁと人ごとながら、そのエネルギーには脱帽だ。段ボールに詰め込んでそれを積み重ね、引っ越し屋が持っていくのを次から次に続けることを考えただけで、もう腰が痛くなり、膝が痛くなる。
うちはもう引っ越しだなんて考えられない。一番の問題点は私の蔵書だろう。全部捨ててしまえばそれで解決だけれど、どちらかといったら私の人生そのものだから、私が生きている間は捨てられない。しかもそのうち結構な数の書籍がまだ読んでもいなくて、タイトルを見ると片っ端から今読みたくなるような本ばかりなのだ。もっともそういう本でなければ、手にすることもないわけだ。
というわけで結局死ぬまでここにいることになるだろう。