東電OL殺人事件の再審公判はゴビンダ・プラサド・マイナリさんを無罪と検察が論告したことで即日結審した。彼は15年間拘束されてきた。
青沼隆之・東京高検次席検事のコメントを聞いて呆れ返ったとするコメントが巷に溢れている。
「検察官が殊更に証拠を隠したなどの事実も認められず、その捜査・公判活動に特段の問題はなかった」「結果としてマイナリ氏を犯人として長期間身柄拘束したことについては、誠に申し訳なく思っている」というものだ。
大いに問題があるのにも拘わらず、「特段の問題はなかった」といけしゃあしゃあと平然と言ってのける青沼次席検事の倫理観はどうなっているのだろうか。特段の問題がなくても無罪の人間を15年間もの長期にわたり拘束することになるのだとしたら、この国の司法とはそれほどいい加減なものであるということになるのか。
中身を今になって聞くと確かにいい加減な捜査であり、裁判に際してはマイナリさんを犯人としがたい証拠がありながらそれを提出せずに来たという経緯を見ると「問題がない」といえるケースではない。東京高検がこの姿勢を続けるというのであれば青沼次席検事は検察官としての資格を剥奪されても致し方がないだろう。
デモの時の警察による公務執行妨害ねつ造事件の日常化を見ても警察・検察の脅迫司法のあり方は根本的に問題にされなくてはならないはずだ。この事件を分析した佐野眞一を評価するべきでもある。