ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

体験

 はなはだ口幅ったい物言いで恐縮なんだけれど、やっぱり人間は体験をしてみないとわからないんだろうなぁ。それは想像力不足がなせる技、ということなのかも知れないけれど、なかなか想像力というものを働かせることができにくいのだ。それも、自分が本当に前向きに向き合ってみないと想像すら難しい状況というのは一度その体験をしてみると良い。
 50歳を過ぎてから一晩だけなんだけれど、大学の先生が運営している特別養護老人ホームに体験滞在したことがある。介護者としてではなく、利用者として、である。当時そこの特養は4人部屋が普通だった。
 4人部屋というのは10畳分はないかも知れない位の部屋にベッドが4つ置いてあって、ひとつひとつはカーテンで仕切ることができるというもので、まぁ、有り体にいえば病院の入院病棟とあんまり変わらない。
 そこに一晩いると、夜中に介護の方が見回りに来て、おむつ交換をしたり、トイレに起こしたりしている。なかなか寝付かれない。仰向いていると、カーテンに囲まれ、小さな天井分がようやく私の領域であるにすぎない。長い人生を送ってきて、あんなこともあってこんなこともあって、その挙げ句に自分の領域はたったこれだけのスペースになってしまうんだなぁと思うと益々寝付けなくなった。
 政治家、高級官僚諸兄は一晩そのままの格好で、公園のベンチで夜を明かしてみることをお奨めする。できることなら冬場がよろしいだろうと思う。すると弱者のために、どんなことを発言するべきか、身に滲みて理解することができると思う。時間もかからず、費用もかからない研修とすることができるだろう。