私の地域では今はホームレスの人を見ることはあっても、物乞いをするという人には、もう滅多に出逢うことはない。かつては物乞いという人がいて、軒並みに門付けしては手のひらを上に向けて見せた。そして、どういうわけかみんな、良い顔をするわけではないけれど、無視するわけでもなくて10円玉なんぞを載っけたりした。それが珍しいことではなかった記憶があるのだけれど、違っていただろうか。路上に筵を敷いて、犬なんぞを横において、空き缶を前にして正座しているというのが「サザエさん」に出てきそうなおコモさんの正しい姿だった。それが日本ではもうほとんど見た記憶がない。日本が良くなったというのは確かにあるかもしれないけれど、それではどうにもならないのだという状況にあるということではないか。アルミ缶をビニール袋に満載にして行く人を見ることもある。
ところが欧州ではどこの街にも紙に何かを書いて掲げて空き缶をおいている人もいるし、片足がない状態を見せて空き缶をおいている人もいる。概ね、ただ、缶を出す。