ほぼ足りてまだ欲 その先

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漁船員

 高知県の沖の海で丸焼けになった鮪漁船が発見された。乗り組みは二人の日本人と5人のインドネシア人。日本人は66歳の船長と54歳の漁労長インドネシア人は30〜45歳。
 NHKのニュースは人材派遣会社から派遣された、と説明していて、どういう訳だろうと思ったら、読売新聞によると、「インドネシア人の5人は、外国人に就労ビザ取得などの手続きなしに日本船で働いてもらう国の「マルシップ方式」に基づき、静岡県内の仲介会社を通じて1年契約」していたのだそうだ。
 えっ!?漁船にマルシップ?
 マルシップってなんだろうか。国土交通省の解説によると「日本法人等が所有する船舶(日本船舶)を、外国法人等に貸渡し(裸用船)、当該外国法人が外国人船員を乗り組ませたものを、貸渡人たる日本法人等がチャーターバック(定期用船)したもの」といっている。
 実はこの言葉は日本船籍の貨物船の運用のために作られた制度であって、乗組員の合理化を図るために賃金の高い上に、組合の力が強くなった日本人乗組員を排除して当時賃金の安かったフィリピンや台湾の乗組員に置き換えようと作られたものだったわけだ。つまり、経営者にとって使い勝手の良い労働力を手に入れることができる様に政府が尽力することの典型である。
 今回の火災事故を聞いた時にまず思ったのは、この船のインドネシア人乗組員は多分「研修・実習ビザ」だろうということだったものだから、読売のマルシップによるものだという説明には驚いた。
 法というものは当初作られた目的のために機能するものではあるのは確かだろうけれど、思わぬところで拡大解釈されて適用されていく危険がある。
 アベシンゾー自公連立政権は法の解釈運用のお得意さんだから、彼が「そんなことには適用されるはずはないので後じゃいます」というのはちゃんちゃらおかしいのであるけれど、素直な皆さんは簡単に騙されるのである。