ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

20年前

 笑うに笑えない話というのが結構ある。これも相当に笑えない。
 20年前に日本から南半球へ駐在として赴任した。当時、私は既にMacのパソコンを使っていた。今から考えるととてもラップトップとはいい難いけれど、Power Book 150という機種と、モニター一体型のものと二つを持っていった。事前に様子を聴いたら事務所にはパソコンがないという話だった。日本語ワープロ専用機を使っているが印刷のためのリボンが足りないから出かける時にはそれを買ってこいという指令をおびてもいた。
 パソコンがなくて、経理担当はどうしているんだろうと思ったり、ネット接続はどうしているんだろうと思っていた。
 二台持っていくと説明をしたら、なぜかもし関税がかかったらそれは君が負担するべきだという連絡が入った。意味が良くわからない。自分の趣味で持っていくという理解の上での連絡だとしか思えない。日本語の変換ソフトが現地で買えるとは思えないから現地でハードを買っても仕方がないし、むしろ仕事で使うパソコンを自前で持っていくといっているんだから、それくらい事務所が負担するのは当たり前だろうと思っていたのだけれど、どうも状況が不可思議だったので、プリンターも一緒に持っていくことにした。
 現地にいってわかったのは、かなり初期のパソコンが経理用に入っているのだった。さもありなん、そうでなくては前任者は何をしていたのだろうと不思議だったのが氷解した。しかし、氷解しなかったのは「パソコンはない」という説明だった。
 直ぐにわかったのは、専用ソフトまで作ってあったパソコンを責任者が理解できていなかったということだった。だから、いわゆる文書作成や稼働分析にパソコンを導入できていないという状況のままだったわけだ。
 自分のMacを使って文書作成し、分析データーを造り、東京へそのまま送るためにネット構築に取りかかるけれど、当時は電話回線を新たに引いてプロヴァイダーと契約したが、電話回線敷設は事務所の費用で賄えたけれど、毎月のプロヴァイダー費用は責任者がどうしてもウンといわないので私的に契約する始末だった。
 そうこうするうちに、ある日、彼の机の上に見慣れないパソコンがおかれていた。あたかも突然降って湧いたかのようだった。
 隣のパソコンレンタル会社の若い社長から買ったのだそうだ。若手に「おい、どうするんだ!?」といっている。若手はなんといって良いのかわからない。そのパソコンではアプリが入っているのか、日本語変換ソフトが入っているのか、わからないのにどうするんだと聞かれている。私は機種が違うのでわかりませんといっていた。
 たかだか20年前だというのに、明治維新の話題のようである。この分野はどうしようもないくらいについていけない。
 私も今ではもはや彼と同じような状況にいるのかも知れない。