私は帽子マニアの部類に入る。かつてはそれほどではなかったけれど、今や頭が薄くなってきたものだから余計に必需品になっている。ここのところ夏のハットに困っていた。かつてはかなりパナマの帽子に頼っていた。近頃は爺さんの数が増えたものだからパナマの帽子も需要が増えたようで、かつてのようにどこかで偶然安くて良いものに出逢っちゃったりするということがなくなってきた。つまり、需要が増えたら売れるというのがわかったものだから、ちゃんとした値段で売れてしまう。掘り出し物という偶然に恵まれなくなってきた。
パナマや麻といった天然素材を編んだ帽子は涼しいのだけれど、雨に弱い。今日は決して雨なんぞ降らないという時には良いのだけれど、ひょっとしたらひと雨ざっと来るかも知れないと云う時には怖くてかぶれない。昔のようにいくらでも目のためが飛び出るほどの金を出さなくても手に入った時は良かったのだけれど、今やそんな具合に被るにはちょっと勿体ない。
それでもう2-3年前からどこかへ行くたびに帽子屋を見つけては入って、濡れてもいい、しかし、薄手の生地でできている、そんな帽子を探し探してきたけれど見つからなかった。もう日本の国内ではとっくに諦めていた。
ところが都内の男性用洋品店を覗くと、自分の好みには合わないけれど、それに近いものが散見されるようになってきた。それで今日の帰りにはわざわざ遠回りをして一番近い帽子屋に入ってみた。すると、あった!嬉しかった。これで生成りがあったらもっと嬉しかったのだけれど、贅沢はいってはならないのだろう。