ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

職場変遷

 私が会社に入ったばかりの頃、私が配属された職場は課長の下に係長が二人いて、それぞれに4-5人の男性社員。そしてその10数人の男性社員に対して二人の女性社員がいた。女性二人は年齢が私とほぼ同じくらい。彼女たちは毎朝事務所の机を片付けてお茶を入れてみんなに配っていた。その上、タイプを叩き、テレックスを打ち、頼まれたコピーをしていた。当時のコピーマシンというのは湿式の青写真で、まぁ体の良い日光写真だ。ゼロックスのコピーマシンは数年経って定着したが、最初は高くて、うちの事務所にはなかった。
 男も全員タイプが叩けないと手紙も書けないし、何しろ海外とのやりとりは急ぐ時はテレックスだから当然キーがたたけないとできないので、配属になるやいなや銀座・クロサワのタイプ教則本を渡されて練習した。クロサワは銀座松坂屋の向かいにある当時は古いけれどしゃれたビルで、一階にタイプライターやその消耗品を売っていた。今は携帯電話屋が入っている近代的なビルになっているが名前はもうビルの名前にしきゃ残っていない。
 本社に移動になった当初はまだ東京の本社でも、女性がお茶を配っていたような記憶がある。それが「社員ルーム」というものができて給茶機が置かれるようになったのがいつ頃だったのか記憶がない。それでも本社ではタイプを打つとか、テレックスを打つという作業は担当の女性がいて、いちいちお願いにいってノートに記入していた。しかし、私たちはもうすでに工場でそういうことは自分でやるという習慣になっていたので、機械を借りて自分で処理した。滅多にそんな男性社員がいないので、タイピストテレックス・オペレーターのお姉さんたちとは顔なじみになった。
 そのうち私の属していた部門はほとんどそうしたものを自分でやるようになってきたけれど、おかげで歳をとってもパソコンへの移行がスムースだった。ある意味では非常に有利な境遇で人生を送ってきたということができる。まさかこんなことになるとは思わなかったのだけれど、偶々巡り合わせが良かったということだ。人生にはこんなことがある。自分は何の努力もしなかったのに、気がついたら得をしていたという奴だ。
 逆に自分は何にも悪いことはしてなかったはずなのに世の中の動きについて行けなくて気がついたら大変損な立場になっていたと思っている人たちもいるはずだ。