ほぼ足りてまだ欲 その先

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カウラ事件

 先日のカウラ・ブレイクアウト70周年記念を機会にその後日本国内で新たに出版された文献はないものかとピックアップした時に引っかかってきた今までに見たことのない本があってそれをamazonでポチしたものが今朝届いた。

 刊行されたのは2012年で発行社は山口県の瀬戸内海に浮かぶ屋代島・周防大島町にあるみずのわ出版という。どうも宮本常一に傾倒している出版社のようで、今時こうした出版を地方で続けることには相当に困難があるだろうことは想像に難くない。
 ここで取り上げられている立花誠一郎さんはパプアニューギニアで捕虜になってブリスベン経由でカウラに収容された。そこで体調が悪くなって診察を受けたらハンセン病が判明した。おかげでカウラで日本人の戦時捕虜が暴動を起こした時は一人天幕に隔離されていたために全く参加していない。
 1946年3月にシドニーから復員する。ここに当時の立花さんの写真が掲載されているのだけれど、この写真をどこかで見たような気がする。なんでだろうと読むと、彼は2011年5月に放送された「テレメンタリー2011 ダブルプリズナー」で取り上げられていたと書いてある。このテレビ番組は深夜も深夜、とんでもない時間に放送されている番組で日本テレビ系列のNNNドキュメントよりも見る人がいない時間帯だ。
 立花さんは帰国後直ちに建築途中のまま敗戦で放り出されていた駿河療養所に収容され、その後公明園に移された。
 驚くことにほとんどの戦時捕虜が偽名を語っていたカウラで彼は本名を名乗っていたのだけれど、今のこの名前が偽名だといっている。思わずもう一度読み直すけれど、そういっている。これにはびっくりした。
 広島経済大の岡本貞夫先生がゼミで聞き書きした成果をまとめた「-若者の聞いた-カウラ捕虜収容所日本兵脱走事件」という冊子があるらしい。なかなか容易には見つけられそうもないと思っていたら丸善ジュンク堂のネットショップで見つけた。本当に在庫が残っているのかどうかわからないけれど、発注した。