ほぼ足りてまだ欲 その先

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役に立つ

 文部科学省というよくわかってもいないくせに、すべての日本という国の事象については自分はことごとくわかっていると思い込んでいる、あるいは思い込もうとしている役所には呆れるばかりだ。人文系の学部は世のため社会の役に立っていないから国立大学には要らないといっているらしい。
 一体全体、何が発想の元なんだろうか。この話を聴いたときにすぐに思い浮かんだのは、戦時中の学徒動員だ。まず戦地に送り込まれ、多くの特攻隊につぎ込まれたのは文系の学生たちだった。理系は残った。
 問題は二つ。ひとつは「役に立つか、立たないか」という問題。即実践に役立たない、とでもいおうというのであれば、その役割を果たすのは本来専門学校なのであって、大学であることを求めることが既に間違い。だったら、本来的に学問の研究、精査の道に進みたい学生を受け入れれば良いのであって、誰も彼も受け入れる前提でものを考えるからこうなる。日本の教育制度の中には専門職業訓練、という観点が政策としてまったく存在していない。
 ふたつめは本来的に学問の起点である人文系学問をあまりにも軽視している点。これは官僚の官僚たるゆえんで、多分愚劣な政治屋にたぶらかされた結果ではないだろうかと推察する。こんな程度のテクノクラートを大学で育てるのはまったく無意味。上のいうことをそのままただ現場に展開するだけなら、大学という高等教育の場は要らない。