今回のビルマ(私はミャンマーという偽物の名前は使わない)の選挙による軍政から民政への統治システムの変換というものがどうしてもすんなり受け止められないでいる。あんなに強権的だった軍事政権がどうしてこんなにスッキリとアウンサンスーチーに政権を明け渡すのだろうか。その裏には必ずなんかしらシナリオが潜んでいるはずだ。
第一に、民政化されたということにしないと、ポスト中国、東南アジア各国としての自由至上主義者たちの労賃の草刈り場として、投資を期待できない、という大前提はある。
しかし、だからといって、これまで美味しい汁を吸ってきた軍事政権が「じゃ、どうぞ」と明け渡すとはとても思えない。
軍事政権が使いやすいように様々に変えてきた法は一体どうなっているのか。
新しく選出された議員が加わる国会には、既に116人の議員がいる。全体の25%を占める既存議員は、軍指導部により指名された者たちだ。2人の副大統領のうち1名は既存議員たちから選出されるため、彼らと同じ軍人が選ばれることになるのだ。
Mark Farmanerがこちらに書いている。
防衛相と、内務相、国境相は軍指揮官に仕えることになる。これにより、軍隊は新政府の力の範囲外
選挙期間、軍にとっては好ましくないFacebook投稿を行った人々が投獄された。警察の統制か、真に独立した司法組織が編成できない限りは、未だ政治的信条や行動によって、投獄される可能性がある。これはNLD政権が行き詰まる可能性のある、問題の一つだ。
議会と政府、双方の上に立つのは国防治安評議会だ。憲法上はミャンマーで最高権力を持つ機関である。この機関の11人のメンバーのうち6人は軍の人間で、軍が多数派を形成することが保障されている。そのため国防治安評議会は、NLD政権の決定を覆すことができる。
こうしてみると、安閑としてはいられない。万歳、万歳ではないのだ。軍事政権は表面上アウンサンスーチーにイニシアティブを与えて国民のガス抜きに成功している。
そして、アウンサンスーチーも、それを理解して動いているのではないかと思わせる。