ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

妄想

 日野テルのビンタ事件で様々な意見が飛び交っておりますな。どうやらずっとステージを見ていた人、あるいは四ヶ月間ドリーム・ジャズ・バンドを見守ってきた人じゃないとわからないだろう。わからないだろうけれど、ステー上でぶって「なんだ、その顔は!」ってのは尋常じゃない。
 あのステージの楽器配置の様子から見ると、中学生レベルでジャズをみんなでやろうというんだから、連中は多分部活から始まったブラバン出身者が多くて、パーカショニストでもドラムセットを叩く連中は彼らとは色合いが異なっているだろう。
 私が見ることができたのは日野テルが舞台上手から歩いてきて段を上り、くだんの中学生のスティックを剥奪して投げ捨て、それでも中学生が素手でスネアを叩きつづけたら、日野テルは戻ってきて、中学生の頭を押さえつけ、なんか云いながら手のひらで左方向に一発、返す手の甲で一発。「なんだその顔は!」と叫んだところで終わった。
 それまでみんなでソロを回す(という表現を使う)んだったのに、彼はひとりだけ2-3分延々とソロで叩いた。2-3分というと短く聞こえるけれど、普通こんなビッグバンドでソロと云ったら短ければ8小節、短い曲なら16小節、長くて32小節のワンコーラス。メインのプレイヤーだったら時にはtwoコーラス行っちゃうかも知れないけれど、彼らだったら長くてもワンコーラスじゃないのか。
 ブラバン出身の管の子達だったら、約束通りに回すだろう。このドラムの中学生は後で、親も本人も自分が悪かったと云っているというから、ルールを破ったことは認めている。
 しかし、現場でそんなソロをとり、スティックを取り上げられてもまだ素手で叩き続けたのだから、彼はその時点では「これでもか、これでもか」と自己を主張したかったんだろうし、それまでの不満をぶつけたのではないのか。殴られて日野テルを睨み付けていたことは「なんだ、その顔は!」で想像できる。
 練習中からも彼は他の誰よりも技術が上だと自負していただろう(この辺は私の想像)。しかし、ビッグバンドだって団体活動だから、みんなが実力を認めていたとしても、上手く合わせて一体とならないと、完成度は上がらない。そのためにはある意味自分を殺さなくてはならない。唯一自分を見せびらかすことができるのは自分に回ってきたソロだ。ドラムがやらなくてはならないのは地道なリズムを刻むという役割。彼は練習合奏の時は約束通りに決められた尺のソロを叩いたんだろう。しかし、前の晩、心に決めたんだろうなぁ。これまで我慢してきた分、一気に叩き見せてやろう、本番になれば誰も止められないって。
 それが日野テルに一気に止められちゃったんだな。しかし、あぁなっちゃったら、ソロから全体の演奏に戻るのは多分彼らでは無理だろうな。
 完全に全部私の想像なり。

ワンコーラスずつソロを回すLost Weekendの演奏。ピアノ=長部正太

追記

 どうやら、この少年のソロはトレーディング中だったようです。
こちらの方のブログもまた面白いです。