ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

ひとり

f:id:nsw2072:20191128040917j:plain:w360:left 東京都に暮らしていると、70歳を過ぎると、都営交通機関のシルバー・パスを入手することができる。なぜかこれは9月に書き換えられる。これは東京都の交通局が発行しているのかと思ったら、全然間違いで、一般社団法人東京バス協会というところが発行している。前年の区市町村民税が「非課税」で、2年前の合計所得金額が125万円以下だと年間千円で入手できる。それ以外の70歳以上の人は20,510円を払うと入手できる。ある意味応能負担になっているという点がよく考えられていると思う。
 一般社団法人東京バス協会というのは、「東京都内を運行する一般乗合バス事業者が全社加盟している唯一の公益性を有する一般社団法人」という。
 今や日本維新の会参議院議員になっている、あちこちフラフラしている音喜多駿という男がこの制度はいらないと主張していたことが思い出される。
 バスの他にも交通機関がある路線はまだしも、バスしか交通手段のない地域に行くと、このバス券は非常に重要なものになっている。国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、2015年に1841万だった一人暮らしの世帯数は2040年には1994万世帯まで増え、全体の39.3%になる見込み。高齢者の一人暮らしは2015年の625万世帯から896万世帯まで4割以上増えるだろうといわれている。
 どんどん高齢者は増えるばかりで、人口全体に占める割合は増える。なにしろ特殊出生率は1.42程度に下がっている。2.0を超えなくては人口は増えないわけだから、どんどん全体人口が減少する。その中で、高齢ひとり暮らし世帯は増えていく。
 こういう地域を走るバスに乗ってみると良くわかるのは、ひとりで乗ってくる高齢者がほとんどで、着古した衣料を多分来たきりで暮らしているのかも知れないなぁと思わせる人も多い。知らない人になにかを働きかけたいなと思っている人も目につくけれど、それは往々にして空回りをして、周囲から結果として浮き上がる。他人との接し方をもう忘れてしまっている人たちもいる。こういう人たちを見ると、このシルバーパスがなかったら、彼らはもっともっと限られた空間でしか、暮らすことができないんだろうなと思わせる。
 独居老人にとって、とにかく外へ出る、という気になることが必要だ。と、こう書きながら自分が部屋をなかなか出ようとしないことに気づくわけだけれど。
 このシルバーパスができてからバスを乗り継いで長い距離を移動しようとしている高齢者を見ることがある。東京駅から池袋駅まで行くのにバスを乗り継いでいるお婆さんにバス停を聞かれたこともある。高齢者にとっては鉄道は地下鉄も含めて、乗り降りが厄介なのだ。とにかく階段を上がり降りしなくてはならないし、もちろん費用もかかる。バスなら、低床バスでなくても、ステップを上がり降りするのは2-3段でしかない。運良く丁寧な運転手さんに遭遇すれば、焦らなくてすむ。時間は大変にかかるのだけれど。
 私はまだ都営地下鉄に乗るのをトレーニングのひとつだと思っている。階段をそんなつもりで上がり降りする。手摺りがとっても重要になってきた。もう少し若かった頃にもっともっと階段を上り下りしておけば良かった。