会社を経営している静岡県議がマスクを通販サイトに一枚50円で販売して、顰蹙を買っている。どんなマスクか知らないけれど、元はといえば自分の会社が中国から輸入していたマスクが在庫品となっていたモノで、これまで施設への寄付なんかもして、感謝状や、感謝の手紙を貰っていたくらいで、「転売してぼろ儲け」したわけではないと記者会見で説明をした。
その記者会見の様子をNHKのニュースで見た。彼は深々と頭を下げ、説明して、記者からの質問に答えた。感謝状や手紙を公開すると、それぞれの「発信者の了解を取っているのか?」と聞く記者に「了解を得なくてはならないという意識はなかった。それでは映さないで下さい」といった。記者は「転売ではないか」と聞き、彼は「私の場合は会社に在庫としてあったモノなので、転売には当たらない」と主張するが、記者は「そんなの同じじゃないか!」と強調する。
私は非常に不可思議な気持ちがした。彼は販売会社を経営している。日頃売っているものを必要とする施設に寄付している。通販サイトで「1ケース2000枚入りのマスクをオークションサイトに89回出品し、総額888万円の売り上げがあった」と、ニュースがいっているんだから、一枚50円で売ったことになる。どれくらいのレベルの仕様のマスクか知らないが、安いものだったら一枚10円するかしないかだろう。
そして、記者が指摘した「在庫品を売った」ことと「転売する」行為が決して同じではない、という点だ。「ここだ!」と思ってどこかで仕込んですぐさま間髪を入れず売り払ったら転売かも知れない。これがおなじだとしたら、全ての小売店の商売は「転売」になってしまう。市場主義経済化にあって、物価が需要と供給のバランスで定まることを否定するのであれば、それではなぜブランドものメーカーのバカ高い値段を放置しているのか。その値段でも欲しがる人がたくさんいるからなのではないのか。基本的な品物か奢侈品のちがいなのか。
どうもこの件には納得がいかない。