ほぼ足りてまだ欲 その先

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4400億円

 今どきゃ様々な金額が世の中を飛び交っていて、良くわからなくなっているんだけれど、日本製鉄の今期の赤字が4400億円と聞いて、驚いた。一企業の赤字決済額としては破格だ。さすがに日本製鉄だねぇと。
 「日本製鉄」という名前はどうしてもピンとこない。つい先日までは「新日本製鐵」だったわけで、その後新日鐵住金てことになって、シンプルな名前になってまだ一年だろう。鉄鋼業界は次々にくるくるカメレオンの様に変化して、もうわけがわからない。
 日本製鐵株式會社が戦後解体され、そのうち富士製鉄と八幡製鉄が1970年に合併して「新日本製鐵」と名乗った。日本の産業を牛耳る企業の成立であると同時に、これは戦前の姿をくらます良い機会でもあった。「あの会社とは違う企業である」というのがいつもの切り札で、過去を上手い具合に切り捨ててきた。ま、鉄鋼業界全体もそうだし、日本の大企業は同じような手段で戦前、戦中にやってきたことを切り捨てたといっても過言じゃない。
 シームレス鋼管では日本は、というよりも世界をリードしていた住友製鉄を取り込み、日新製鋼を取り込んで新日鐵は業界再編をすすめてきたけれど、「日本製鉄」という名前にすることによって、生まれ変わった様なイメージを打ち出していたのに、こんな赤字ってどういうことだろうと思った。けれど、もう日本の製鉄業では太刀打ちできなくなったということだろう。国内のマーケットはオリンピック投資も終わってしまった上に、この経済状態では起死回生のヒットは臨めそうもない。社内も住鉄色は払拭されてしまって、戦前の「日本製鐵」回帰が進んでいるのだろうか。
 新日鐵が先頭を切って中国産業の成り立ちを支援してきたわけで、これこそ、典型的なブーメランだといって教科書に記載する歴史上のメルクマールではないか。中国の鉄鋼業界が今では世界を方向付けているわけで、これは素直に認めなくちゃしょうがない。
 じゃ、JFEはどうか。「最終利益予想を従来の330億円から130億円(前期比92%減)に」減額したそうだけれど、未だに船が邪魔しているといわれているらしい。やれやれ、いつまでもそこをつくか。言い訳材料になって良かったね。
 神戸製鋼もご多分にもれず「前期比72%減の100億円に下方修正」だそうで、総倒れ。
 業界をもっと再編しないとダメですか?そうなると独占禁止法に引っかかってくる様になっちゃうんじゃないの?前門のオオカミ、後門のトラだ。「鉄は産業の米」といっていたんだけれど、産業自体がこれまでのニュアンスでいったら産業らしくない産業ですからね。老兵は消え去るのみ。