ほぼ足りてまだ欲 その先

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ディオン・サンダース

 本名Deion Luwynn Sanders Sr.は1967年生まれ。1989年から2000年にかけてNFLMLBでプレイしたマルチ・プレイヤーで有名だった。今朝、CSで彼がもっとも話題になった1992年のシーズンについて語った番組をやっていた。この年彼はNFLはAtlanta Falcons、MLBは同じAtlanta Bravesに所属していた。
 何しろ彼は高校生の頃は野球、アメラグ、バスケの三種目でフロリダ州の賞を取っているというくらいのマルチプレイヤーだった。もっともアメリカではシーズンが重ならないので、これくらいのスポーツを経験するのはそれほど珍しくはない。彼も、この上陸上競技にも手を染めている。
 1992年、野球のBravesポストシーズンに進出した。リーグ・チャンピオンシップではピッツバーグに勝ってワールドシリーズトロントと対戦する。
 リーグ・チャンピオンシップでは10月10日、ブレーブスピッツバーグで勝って3勝1敗になった。翌11日に勝てばWS進出だ。ところが11日、サンダースが所属するNFLファルコンズはマイアミでドルフィンズと試合がある。しかもその夜にはピッツバーグで第5戦だ。両方でプレイすれば、一日のうちにMLBNFLでプレイした最初の選手になる。
 サンダースは契約するナイキの力を借りて、プレイベート・ジェットでピッツバーグとマイアミを往復する計画を立てる。それを知って、もちろんブレーブスの現場も、ファルコンズの現場も良い顔をしない。当時CBSの解説をしていた元カージナルスの捕手だったTim McCarverは激しく非難した。しかし、サンダースは「もともとブレイブスとの契約は7月いっぱいだった」と主張して、マイアミへ飛ぶ。しかし、いくら天才選手とはいえ、NFLのプレイにはそう簡単には普通は対応できない。そもそもキャンプにも参加していない選手が、すぐ出られるのかということになるけれど、かれはオフェンスではキックオフ・リターナーだったり、パントリターナー、ディフェンスだったらコーナー・バックというポジションで、阿吽の呼吸で動くというよりも、自身の運動神経を駆使して動くポジションだから天性の勘さえ持っていれば十分対応ができる。それでもファルコンズのヘッド・コーチは最初のプレイには彼を出さなかった。ゲームは21-17でファルコンズは負けた。
 すぐさまヘリで空港へ飛び、プライベイト・ジェットでピッツバーグへとって返す。ナイト・ゲームぎりぎりに飛び込む。しかし、監督は彼をゲームに使わない。とうとう出場機会なしでチームは1-7で負けてしまう。一日に二種類のプロゲームに出場した選手にはなり損なった。
 さて、翌日場所をアトランタに移した第6戦ではDeion Sandersは足の骨にひびが入っているんだといいながら大激走を見せるも4-13で大敗したブレーブスは、13日の第7戦でようやく2点のビハインドを9回裏に3点を入れて劇的サヨナラ勝ちでWS進出を決める。試合のあとのクラブハウスでのシャンパンファイトで、Deion Sandersは自分をこき下ろしたTim McCarverを探しだし、氷がいっぱい入ったバケットを彼に浴びせた!その後Tim McCarverは「公式の場で謝罪をしない限り、奴は許さない!」と公言。多分未だに仲直りをしていないのではないだろうか。ブレーブスはWSでトロントに破れる。Deion Sandersはワールド・シリーズにも、スーパーボウルにも出場した選手であるという実績は残る。
 とにかく、こういうスター選手は何かと鼻持ちならない言動をとるが、実力があるからしょうがない。しかし、あんまり周囲には好かれない。その後NFLでもMLBでもチームを渡り歩くが、NFLではHall of Fame入りしているがMLBではかなっていない。両方でプレイした選手は67人いるというのも驚きだけれど、その中にMLBでHall of Fame入りした選手はひとりもいないというのも驚きだ。