ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

石橋湛山

湛山回想 (岩波文庫 青 168-2)

湛山回想 (岩波文庫 青 168-2)

 この本は多分「日本の古本屋」サイトから買ったんじゃないかと思う。というのは貼ってあるタグのお店には行った覚えもない。Google mapでみるとそこにはもうお店はない。いつ買ったのか覚えていないが、部屋の一番端の書棚の一番下に刺さっていた。奥付は1987年5月第3刷となっている。

 石橋湛山はホンの瞬間総理大臣になったことがあったことは覚えている。たった65日間の在任だった。国民皆保険の祖である。軽い脳梗塞を患って、岸をはじめとするCIAの手先に追われた格好だ。1956年年末のことで、私は既に小学生だった。
 石橋湛山の父親は山梨の青柳で日蓮宗の住職だった。(昌福寺というお寺で、つれあいの実家の菩提寺からは1.7kmほど離れたところに今もある。)後に久遠寺法主になっている。湛山によると、当時の山梨から東京へ出ようとすると、なんと八王子まで徒歩で行き、そこでようやく汽車に乗ることができた。他は御殿場まで出てようやく汽車に乗る。最も早い方法は富士川の急流を舟で下る方法で、無事に到着すれば、岩淵から汽車に乗ることができたという。しかし、これは命の危険を伴う手段で、舟は岩の河床に当たってもフレキシブルに対応できるよう、舟底がぺらぺらの木の板だったという。これはこれで考え方としては正しいが、気が気ではなかったと。時として、ベテランの先導といえども、まかり間違えることがあるわけで、そうして命を落とす人もいたと。川の流れの急なところで舟がひっくり返ると、泳ぎの達者な人はできるだけ頑張って流れを横切って岸に着こうとして、力尽きてしまう。ところが達者ではない人は、流される舟につかまって、そのまま下流へと流れていく。川はどこまでも急流なわけではないから、穏やかな流れのところで、自然に岸に流れ着くのだそうだ。
 なんだか、読みながら、頷かないわけには行かなかった。私は多分此処で自分を過信して、命を落とすだろう。