私の両親は二人して84歳で他界したのだけれど、二人の間に7年の隔たりがあるので、一緒に他界したわけではない。オヤジが先に逝き、その7年後におふくろが逝った。これが逆だったら大変だっただろうなという気はする。
一人残されたおふくろは最期は認知症に陥っていたけれど、それでも、かなりの期間がまだら模様で、調子の良い時には昔話に興じたり、唄を歌って笑っていたこともあった。しかし、残されたのがオヤジの方だったら、周りはもっと大変だっただろう。なにしろ、生前は縦のものも横にすることもなく、自室でテレビを見ていても、「おーい！」とおふくろを呼んでは、お茶をくれとか、なんとかを持ってこいとか、自分ではなにもしなかった。彼が残されていたら、専門介護がいつも一人ついていなくてはならなかったかも知れないし、あの身体ではリフターなしにはとても移動させられなかった。
うちはどっちが残された方が周囲にとって楽か、といったら、答は簡単だな。
