ほぼ足りてまだ欲 その先

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ラグビーの世界

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たまたま、CSのJ-Sportsを見ていたら「ドキュメンタリー 〜The REAL〜 【海外ラグビー特集】パシフィックラグビーの光と闇」という番組をやっていた。途中から見たので大前提がわからなかった。
The REALというシリーズは各スポーツ界の問題点を提示しているので、時々興味深く見てしまう。過去には期待されたヘビー級ボクサーの栄光と没落だったり、ロシアの国を挙げてのドーピングを暴露した選手の話だったり、非常に興味深いドキュメンタリーを放送している。難を上げれば同じ番組を延々と何回も何回も再放送していることか。

 このラグビー編はPacific Rugby Players Welfare(PRPW)という組織を運営している元サモア代表のDaniel Leoが関係者にインタビューして、ラグビー・ワールドが構築する今のシステムの闇にスポット・ライトを当てようとする。

 私はラグビーのことはほとんどわからない。それでもテスト・マッチというものがあり(いったいそれは何のテストなのか)、Six Nationsなんてものがあったり、W杯があるというのは知っている。しかし、良くわからないのが、なんで六カ国だけの大会があったり、サモアやトンガ、フィジーといった国の選手がよその国の代表に入っているのか良くわからなかった。それなのに、彼等の国のナショナル・チームはそんなに強くない。
 去年公開されたらしいこの番組を見て初めて知ったのは、「ワールド・ラグビー」にはTier One、Tier Two、Tier Threeと区分されているんだけれど、これ、実力だけじゃない。伝統や格式を考慮して分類されているんだそうだ。Tier Oneには英国の四カ国に、仏、伊を加え、南半球の四カ国、豪・NZ・アルゼンチン、南アの10カ国。これらの国は正に特別で、ワールドラグビーの選挙で各3票の投票権を持っている。Tier Twoでも、なぜか日本には2票があてられていて、サモア、フィジーアメリカ合衆国、カナダ、ウルグアイルーマニアジョージアには1票しか与えられていない。トンガ、スペイン、ポルトガル、ロシア、ナミビアにはそれすら認められていない。ここにもアンフェアネスが潜んでいる。
 私の聞き取りが正しいとすると、試合が開催される国の協会が売上を得ることができるのだけれど、ビジター国の協会には何も与えられないみたいだ。とすると、サモアやフィジーにTier Oneにランクされている国のナショナル・チームがやってきてゲームをやってくれないと、そうは実入りがない。サモアにそんなチームがやってきたことはこれまでの歴史では、ただの一回、スコットランドが来たことがあるだけだそうだ。
 その上、サモアラグビー・ユニオンの協会会長は当時の首相で、その利権をがっちりと握っていたらしい。サモアラグビー・ユニオン協会の建物はおんぼろな木造平屋の小屋みたいなもので、お粗末そのものだったそうだ。いつでも財政的な困難に直面している。ということはフィジーも、トンガも同じだろう。
 だから優秀だと思われる選手は若いうちから他のTier Oneのナショナルチームに入れるように移っていく。今では幼いプレイヤーにも触手が伸びてくるそうだ。
 ところでラグビーにはもうひとつ、ラグビー・リーグというスポーツがある。1895年に分裂してできた。
いわゆる「ユニオン」とはルールが異なる。フィールドには13人のプレイヤーがいて、6回の攻撃権を持ち、パントをしたら攻撃権が相手に移るのはアメリカン・フットボールに似ている。タックルで、前進が止まったり、ボールやボールを持つ手・腕が地面に付いたりした時に完了し、タックルを受けたプレーヤーは、ボールを足下に置き、足で後方へ転がすことによってプレーが再開する。なれないと、四六時中選手が動き回っていて、あれよあれよと何が何だかわからない。
 豪州やNZではユニオンよりもリーグの方が人気が高い。テレビで中継されるのはほとんどこっちで、ユニオンの試合をテレビでほとんど見たことがない。日本ではワラビーズやオール・ブラックスは有名だけれど、私は豪州でワラビーズの試合をテレビで見たことがない。毎週放送されるのはリーグの方で、試合のある日は午後から競技場近くのパブというパブは地元チームファンでワンワンとしているし、行きつけの床屋のイタリア移民のおっさん達は、地元チームの話題しかしていなかった。
そのラグビーリーグのナショナル・チームは二カ国の代表となることが可能だった。
 今ではラグビー・ユニオンの代表チームは過去に他の国の代表チームメンバーだったプレイヤーが3年間の登録がなければ、他の代表メンバーになれることになったそうだ。

 日本では新しいリーグが始まったそうだけれど、Pacific Islandersは全く恵まれていないようだ。その上トンガは今度の火山の噴火でまた痛めつけられている。