ほぼ足りてまだ欲 その先

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軽微な中毒

 どうやら私は軽い、本当に非常に軽微ながら、本中毒にかかっているのではないか、という気がしてきた。20年前まではそれほどでもなかったけれど、やっぱり23年前に学校へ行きだしたのを契機に一気にその兆候が出てきたと云えるかも知れない。それには、その前3年半ほど日本から離れたことが遠因となっていると云えるだろう。なにしろ当時は日本へ帰ってくるチャンスがあると、必ず本屋に行っていたから、手持ちの機内持ち込みバッグはズシッと重たいものになっていた。あれで持ち込みバッグの計量でもあったら、難儀なことだっただろう。当時は日本の書籍の入手は簡単じゃなかったのだ。
 学校に行きだしてからは、文献の確保に随分苦労した。学校の図書館は重宝したけれど、自分のものではないだけに、常備できない面倒くささもあった。なによりも新聞雑誌に掲載される記事を探すのに苦労した。広尾の東京都立図書館で借りだしてコピーをしたり、国会図書館で閲覧した。
 この中毒は軽微ながらも金食い虫である。50年ほど前に在籍した工場の隣の部長が毎月本屋から書籍を届けさせていたのを見て、あの人は一体どういう人なのかと訝しがっていたのだけれど、今なら十分理解ができる。立花隆が持っていた書庫ビルが羨ましい。