ほぼ足りてまだ欲 その先

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終末から

 先日古本屋で棚を見ていたら、1973年に筑摩書房から出版された「終末から」という隔月刊雑誌が三冊積んであった。
あまりの懐かしさにパラパラと。そういえばわが家に、この雑誌が全九冊書棚の奥にしまってある。
構成:野坂昭如となっている。

 1973年といえば石油ショックの頃で、このまんまだとすぐに終末が来ちゃうぞ、考え直せという路線なんだが、状況は今でも全然変わっていない。この時代、私は静岡県清水市に暮らしていたはずで、よくもまぁ全九冊を入手していたものだと感心する。当時の清水で書店といったら清水銀座の戸田書店くらいだけれど(今はもうない)、あそこに定期的に配本されていたような気がしない。

 創刊号から井上ひさしが「吉里吉里人」を連載していた。隔月刊で遅筆の達人にとってはちょうど良かったのか。しかし、連載は第八号までで、九号を見ると378頁に「既発表分に書下ろし4百枚を加えて一挙掲載!」と宣伝が出ている。しかし、それが出版された形跡を発見できない。彼はその続きを小説新潮だったかに続けたと聴いている。
 いずれにしろ、勝手にどんどん日本から独立してしまうという発想が面白い。一気に全編を読んだ記憶がある。しかし、それも多分新潮社版だったんだろう。