ほぼ足りてまだ欲 その先

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15歳

 先住猫がもはや15歳となった。その前にいた猫が一人寂しく私たちが出かけていた間に風呂場で死んでいて、涙が枯れた頃、娘がバイト先の人の知人のところに一匹もらってくれる人がいない猫がいるがどうかといわれてもらってきた。まだ小さいスコッティシュ・フォールドで、どうしてもらってくれる人がいないのかと思ったら、尻尾が普通の猫に比べると異常な形をしていて、しかも、歩いているところを見ると、生まれながらに障害がありそうだったからだ。この種類の猫は耳がたれていて、それが可愛らしいといわれているけれど、無理やりそんな突然変異種を繁殖させるから、障害を抱えた個体が生まれてきやすいのだそうだ。なんでそんな可哀想なことをしたんだろうかと、スコットランド人の異常さに腹が立ったものだ。
 そのながれだからなのか、全く大きくなることもなく、いつまで経っても小さいまんまだ。そして今でも、ヨタヨタと体を揺さぶりながら歩いている。もはや人間でいえば80歳も超えているんだろうから、ほぼ日がな一日寝ており、目が覚めると、「ミィ〜」と泣いては餌がない、水を少し温めてくれ、トイレにいってきた、と伝えてくれる。それでも、いくらなんでも早晩寿命はやってくるだろう。その時のことを想像しただけでも、今から泣けてしまう。しかし、猫のことを哀れんでいるわけには行かないのだ。こっちだって、そろそろ死神が管理している地下にある蝋燭が短くなってきている頃に違いない。蝋燭を前にして、誰かがクシャミをしないとは限らない。