ほぼ足りてまだ欲 その先

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抑留記

 本棚をひょいと見たら「抑留記―未決拘留十一年  下」という本が目に入った。随分古ぼけた本で、なるほど1979年の出版となっている。著者は八木 春雄とあるが、上巻がない。奥付を見ると「非売品」とあって発行所はなんと福岡刑務所作業課としてある。表4にラベルが貼られていて、地元の図書館の廃棄本だと分る。著者本人から全国各地の図書館へ献本されたものらしく、しかもどうやら上巻と下巻が一緒に発行されたのではなくて、最初にソ連における強制労働について著した上巻だけが前年に自費出版され、あとから中国での日々についての下巻を自費出版したらしい。
 この著者八木春雄はどうやら、五・一五事件に関連して陸軍の監獄に入り、その後、満州へ渡って満州国の軍人となって終戦によってソ連に連行され、撫順にまわされ、日本に帰ってきたのは1956年のようである。
 それにしても帰国直後に書いたとされている内容は千々に乱れるようで、なかなかフォローしづらい。