ほぼ足りてまだ欲 その先

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戦時中の海外放送

 古い本である。1984年にPHP研究所から出版されたもので、一見するとまるで講談社現代新書かと見間違えるような装丁と寸法である。どこで知ったのかというと多分、2018年に彩流社から出版された「もう一つの太平洋戦争 米陸軍日系二世の語学兵と諜報員」だと思う。非常に紛らわしいタイトルであるけれど、両方ともわたしとしては非常に興味深い分野を書かれた書物である。

 まさに東京ローズと呼ばれた女性たちが登場していた日本軍による対米諜報放送を担当していた今のNHK、当時の日本放送協会で携わった並河亮氏であるけれど、松江高校から東大、そして文化学院で教職を取っておったそうで、のちに捕虜の中から豪州人のチャールズ・カズンズを中心にした放送関係者が詰めていたのが軍が接収した文化学院だった。

 45ページに1935年に撮影したという「海外放送初期のスタッフ」という写真が載っていて14名のうち12名の氏名が記されている。その中に「最初フミ」とされているのはのちに戦後1980年に「日英語表現辞典」を出した「最所フミ」のことだと思われる。1908年生で津田塾からミシガン大、同大学院で学んで帰国後日本放送協会に入局した。たしか彼女の名前も東京ローズだと宣言してしまって数奇な運命をたどった戸栗郁子の「国家反逆罪」裁判でも証人として出たのではなかったか。それにしても秘密主義だった12歳も年下の鮎川信夫とはどういう縁で結婚していたというんだろう。
 「日英語表現辞典」は2018年に文庫本としてちくま学芸文庫で復刊されたんだけれど、当時、蔵前の筑摩書房でなんかのイベントの時に見つけて買ったら、その社員の女性が「これ、わたしが担当したんです!」といって嬉しそうだったのが忘れられない。

 そういえばうちの書棚に鮎川信夫の「戦中手記」(1965 思潮社)がセロハンに包まれたまま刺さっている。飯能の古本屋のラベルが貼ってある。なんでこんなものを買ったんだろう。
 詩といえば、高校時代に詩の同人誌に加わったことがある。なんでそんなことを思ったんだろう。

あ、気がついたら「2.26」だった!

 ただ、それだけなのだ。